大学4年生のXはY業界への就職を希望し、最大手のA社にエントリーシートを送付したが、その後不採用の通知が届いた。A社は新卒採用に、採用希望者の適性(職務遂行能力)をAI(人工知能)に予測評価させるプロファイリングシステムを導入している。A社はエントリーシートに記入された事項以外の情報も広くAIの予測評価に使っていることを知ったXは、自分の何がAIの評価を下げたのか悩み始めた。
同業界のB社やC社にもエントリーシートを送付したが、やはり不採用だった。B社やC社もA社と同じプロファイリングシステムを導入していた。Xはその後もAIに「嫌われる」理由がわからず、自己改革の方向性もわからないまま、採用にAIによるプロファイリングシステムを導入していない低賃金のアルバイト職を転々とすることになった──。
AIの予測評価によって社会的に排除され続ける人が多数生じる「バーチャルスラム」化。慶応義塾大学法科大学院の山本龍彦教授(憲法学)が指摘するこうした懸念は、これまで数多くのSF(サイエンスフィクション)小説や映画で主題とされてきた。ショートショートの名手、SF作家の星新一氏が1970年に発表した『声の網』も同じモチーフだ。
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