「もう築地ブランドには頼れない」(水産卸大手幹部)。「築地を去るのは寂しいし、不安だらけだ」(マグロ仲卸業者)。
10月6日、1935年の開場以来、日本の食を支えてきた築地市場が最終営業日を迎えた。11日に移転先の豊洲市場が開場する。
豊洲市場は築地市場の老朽化・狭隘化などの課題を克服し、高度な衛生管理を実現する中央卸売市場として東京都が約6000億円を投じて整備した。コールドチェーン(低温物流)に対応した閉鎖型構造で、敷地面積も築地の1.7倍(約40ヘクタール)に広がる。
だが、前途は極めて険しい。今のままでは赤字垂れ流しで、都民のお荷物施設になりかねない。
都の試算では、豊洲開場後の年間収支は収入68億円、費用160億円で、92億円の経常赤字。減価償却費を除いても21億円の赤字が見込まれる。築地市場は2015年度で6億円の黒字(償却費含む)だった。
豊洲が赤字に陥るのは、業者から徴収する使用料などの収入が伸び悩む一方、多額の建設費によって償却負担が重いうえ、低温管理徹底のため電気代や保守などの維持管理費も築地の3倍強に膨らむためだ。
豊洲の赤字が不可避の中、都が頼るのが築地の跡地利用だ。豊洲の赤字を築地市場跡地の売却益か長期貸し付けによる賃料で穴埋めし、都の中央卸売市場全体(11市場)の市場会計を持続可能な形で維持する考え。
跡地売却の場合、鑑定価格の4596億円で都の一般会計に売却。特別利益の計上で市場会計の資本が急増し、今後30年は事業継続が可能とされる。豊洲整備のため発行した約3600億円の企業債も償還できる。
長期貸し付けの場合には、年160億円の貸付料で民間などに50年間貸すと仮定。市場会計は年20億~30億円の経常黒字が見込まれるが、企業債償還には別途対策が必要となる。
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