お盆後のこの季節、ふるさとや家族のことが思い出される。「ふるさとは遠きにありて思うもの そして悲しくうたふもの」という室生犀星の『抒情小曲集』の詩句は、都会でふるさとを思いうたった詩かと思いきや、金沢市生まれの犀星が、帰郷した折に複雑な家族環境に愛憎を抱き、都会への復路でうたった詩のようである。生まれ育ったふるさとは家族への愛情や、懐かしい景色への郷愁のような美化された感情だけではなく、その人にしか知りえないもっと生々しい感情を思い起こさせる場所なのかもしれない。
ここ最近よく耳にする「ふるさと」は、「ふるさと納税」だ。地方創生を声高に叫ぶより、ふるさと納税でもやらないか、とささやくほうがよほど人々を動かす。ふるさと納税は、思い入れのある地方自治体に寄付すると、年間の寄付総額から2000円を引いた分が自身の所得税や住民税から控除される仕組みで、多くの自治体は寄付者に過分な返礼品を送る。
総務省によると2017年度の納税受け入れ額(寄付額)は過去最高の3653億円、昨年度比1.28倍といまだ増えつつある。「ふるさと」の持つ絶対的な肯定的側面を持ち味に「返礼品」「応援」「税金控除」の求心力は無敵である。今年は、岡山・倉敷など被災地への、ふるさと納税スキームを活用した寄付も増え、自分たちの払った寄付金の使われ方に関心を持つことで地方行政への参加の第一歩になっている側面もある。しかし現実には寄付というより、もはや便利な通販ショップと割り切っている人も多いのではないか。
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