ふるさと納税がブームだ。制度が始まった2008年度は納税額80億円、件数は5万件ほどにとどまっていたものの、14年度には約390億円、約206万件に増加。15年度は4~9月だけで約453億円、約228万件に上っている。
ふるさと納税は納税者が生まれ育った故郷への恩返しや応援したい自治体を選ぶことができる制度である。寄付金のうち2000円を超える部分について、所得控除に加えて住民税の2割を上限に「特例控除」で全額が減税される。給与収入500万円の単身世帯であれば、この特例控除の上限は6万7000円となる。上限を超えた部分も所得の一定割合まで所得控除が利く。
ふるさと納税が進めば、納税者の多くが居住する都市圏から地方圏への税源の再分配(格差是正)になること、自治体間で切磋琢磨して魅力ある町づくり、地方の活性化につながることが期待されている。しかし、実態は少々異なるようだ。自治体の多くは特産品で返礼している。高額な寄付ほど返礼品の金額も高くなる。中には高級な和牛やパソコンを返す自治体まである。返礼品の種類で納税先を選べるサイトや、ふるさと納税で生活用品を取り寄せるガイドブックもある。つまり、納税者は恩返しや応援ではなく返礼品目当てにふるさと納税をしており、自治体も政策ではなく返礼品でアピール合戦しているのが現状だ。
問題はどこにあるのか。第一に、ふるさと納税が高所得層ほど有利な節税手段になっていることだ。特例控除の上限は所得に応じて高くなる。つまり、富裕層ほど2000円で特産品を取り寄せる余地がある。
第二に、返礼品目当てのふるさと納税はわが国の寄付文化を損なうかもしれない。政府は「活力あふれる共助社会づくり」に向けて寄付金税制の拡充を含め、寄付文化の促進を図っている。本来、寄付とは自らが賛同する活動に対して見返りを求めずに資金を提供する行為だ。日本人の寄付意識はいまだに低いとされる。この寄付意識を醸成しなければならないときに、ふるさと納税は寄付に見返りが当然とする風潮を広めかねない。社会的貢献度合いは高いが資金力に乏しい団体の寄付集めを一層困難にするだろう。
第三に、長い目で見ると自治体のためにもならない。ふるさと納税は自治体に賛同して応援してくれるサポーターづくりが狙いのはずだった。現状では返礼品の切れ目(飽きられ)が縁(寄付金)の切れ目になりかねない。自治体には、返礼品をきっかけに自分たちの特産品の販売が進むという期待もあろう。しかし、返礼品が人気なのは負担が2000円ほどで済んでいるからかもしれない。通常価格で販売したときに売れるかどうかは定かではない。ふるさと納税制度に頼った地域振興では長続きしそうにない。
返礼品について、総務省は「寄付金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を行うこと」を求めているが、過剰な返礼品競争は収まりそうにない。現在、寄付と返礼品は「別途の行為」と解釈して控除(減税)を認めている。しかし、寄付と返礼品が一体化している実態を踏まえ、返礼品分については所得税・個人住民税の控除を制限するなど、恩返しと応援という制度の趣旨に立ち返った見直しが必要な時期ではないだろうか。






















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