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不二製油、大豆が開く世界戦略 株up&down

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大豆タンパク質を素材に、より健康的な食材の開発が可能に

世界中で広がる健康志向を追い風に、油脂大手の不二製油グループ本社の大豆事業に、食品業界から関心が高まっている。同社は1950年創業で、日本の製油会社では最後発だ。事業の主力はチョコレートなど製菓・製パンの素材や油脂だが、これに大豆事業が成長の新エンジンとして加わろうとしている。

なぜ大豆なのか。実は、「最後発企業ゆえに、油脂でも他社がやっていないことをせざるをえなかった」と、清水洋史社長は言う。そのためパームなど南方系の油脂に加え、大豆タンパク質の研究も創業直後から継続されてきた。

当然、大豆タンパク質系製品も提供し続けてきたが、いま一つパッとしなかった。これは、消費者が認めるに十分な価値を大豆で創造できなかったから、と清水社長は言う。

ところが、最近になって自社の技術・開発の蓄積と、環境や健康の重視という世界的なニーズの高まりが一致するようになったと力を込める。大豆事業を自社のコア事業として高く掲げる時期がようやく来た、というのだ。

大豆は本来、環境・健康面でも優れた食材だ。栽培地は寒冷帯から熱帯までと幅広い。また、わずかな肥料や水でも大量生産が可能で、いわば地球環境に優しい作物の一つでもある。

さらに、大豆は人体のコレステロールや中性脂肪を低減させるなど健康効果に優れている。こうした点も、高い関心が注がれ始めた理由だ。

世界の消費者に訴求

不二製油はそんな大豆が持つ利点を最大限に伸ばす技術で、市場開拓に注力している。代表例が「USS製法」だ。これは、大豆を低脂肪豆乳と豆乳クリームに分離する製法で、この製法を使うと飲料やクリーム、さらには肉や魚に似た食感を持つ固形食品も造ることができ、製品開発の幅が広がった。

このような技術を基に、他社との大豆事業での協業案件を国内外で130件獲得(2017年9月時点)。飲料やクリーム、「大豆ミート」と称する加工食品やソイジャーキーにまで、不二製油の技術が活用されている。

こうした製品が既存のベジタリアン(菜食主義者)をはじめ、欧米を中心に増えている「フレキシタリアン」という消費者層を取り込みつつある。彼らは普段は野菜中心の食生活だが、肉・魚も食べたいときに食べる人たちだ。健康と環境への意識が高い消費者の間で不二製油の知名度が上がれば、今後の世界展開にプラスになる。

不二製油の18年3月期業績は営業益200億円と好調を維持する見込みだ。株価もこの1年で2000円台から3000円台前半をキープする。順調な製菓・製パン素材事業に加え、大豆事業も2ケタ成長となりそうだ。

清水社長はさらに、ESG(環境・社会・企業統治)経営にも意欲を示す。原料は環境や人権などで問題がないところでの調達を推し進めると断言。健康と環境意識の高まりを追い風にできるか、清水社長の手腕が今後も問われる。

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