1970年代に、「つんつんツノダのTU(テーユー)号」のCMが流れると、テレビにかじりついて高級自転車を見つめていた小学生も、今や中高年になった。
同じように上場からまもなく55年を迎えるツノダ(旧ツノダ自転車)も、主力事業だった自転車製造事業を大幅に縮小。工場跡地に賃貸マンションを建て、ホームセンターに店舗用地を賃貸するなど、不動産賃貸業への転換を図っている。 現在の売上高は4億円強、自転車の売り上げは年間187万円にすぎない。
そのツノダの買収に、日本政策投資銀行系ファンド・マーキュリアインベストメントが名乗りを上げた。11月13日から12月25日まで株式公開買い付け(TOB)を実施。創業家らの持ち分を除く、過半数以上を取得できればTOBは成立。残った少数株主から強制的に保有株を買い取るスクイーズアウトを行い、早ければ年明けにも上場廃止になる。
驚愕の高プレミアム
(出所)公表資料、有価証券報告書を基に筆者作成
今回のTOB価格は1株1万3950円。公表前1カ月の終値平均4487円に対するプレミアムは実に210%で、株価はTOB価格にサヤ寄せしている。
2006年の会社法施行によって、スクイーズアウトが解禁された。この11年間では新宿コマ劇場を運営していたコマ・スタジアム(プレミアム374%)、給食受託のLEOC(同257%)に次ぐ3番目、過去5年では断トツの高水準である。
これほどの高価格が実現したのは、ツノダが持つ不動産の含み益を買い手が考慮したからだとみられる。資産は約37億円だが、賃貸不動産資産に同額強、約42億円の含み益がある。1株純資産(BPS)は2017年6月末時点で5713円だが、筆者の試算では、含み益との単純合計では1万5141円に達する。
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