年内に憲法改正案が自民党でまとめられる。焦点はいうまでもなく、憲法9条の取り扱いとなる。先の衆議院選挙では、安倍晋三首相は自衛隊を明記するためと改憲の必要性を説いた。
ただ、自衛隊を認めず即時廃止を求めている国民はほとんどいないと思う。問題は改憲してまで自衛隊を明記する必要があるかどうかだ。現行憲法で自衛隊は戦力の不保持と矛盾しないと解釈されている。ならば改憲は必要ないだろう。憲法に明記してすっきりしたいという主張は単なる形式論だ。
周りを眺めてみると、解釈によって実態が大きく懸け離れていることは山ほどある。たとえば日本では単純労働力としての移民は認められていないが、すでに外国人技能実習生という形式で日本国内に入っている。実習生と移民の線引きは、どことなく自衛隊と戦力の違いに似ている。移民に反対の人でも、労働力不足の中小企業から外国人を即刻追い出せという人は少ない。法的にあいまいに見えて実はバランスが取れているから、現状維持の力が働いている。
現在の9条改正論議では、三つの選択肢が検討されることになる。(1)自衛隊を明記して、戦力の不保持を残す。(2)自衛隊を明記して、これと矛盾する戦力の不保持は削除する。(3)自衛隊は明記せず、現状のまま戦力の不保持と戦争放棄を記す。
改憲論に隠された思惑
多くの改憲論者は、(1)か(2)を想定している。(1)を唱える人は、現行憲法の解釈で自衛隊は戦力に当たらないと解釈されているので、併記しても問題はないとする。この論議はとても矛盾している。解釈で認められている自衛隊をわざわざ改憲してまで明記する必要などないではないか。
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