「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し幸福感の中で消えていく」とは米国の著名な投資家ジョン・テンプルトンの言葉だ。今の国際商品市況はまさにこれに当てはまる。
商品を代表する原油で見ると、WTI先物価格で2016年初めに高値の4分の1の1バレル当たり26ドルまで下落したが、その後は値頃感からくる需要増や産油国による協調減産もあって値を戻し、足元で55ドルと安値の2倍超にまで戻している。一時は20ドル割れを予測する専門家が出るなど、まさに悲観のどん底で生まれた相場は「懐疑」の中で上下変動を繰り返しながらも着実に回復している。
ここで注目しておきたいのが「脱炭素」というグローバルな潮流だ。今夏以降、中国やインドの環境問題、パリ協定などにより、長期トレンドでCO2の排出量が多い化石燃料からクリーンエネルギーへの流れが鮮明になる。
中でも一番の注目が自動車のEV(電気自動車)化の動きだ。英国、オランダなど欧州各国、インドなどアジア諸国が次々とガソリン車・ディーゼル車の将来的な販売停止を発表している。中国も25年までに新車販売におけるEVの割合を2割にする計画という。
その恩恵を受けたのがEV用のバッテリーに使用するコバルト、ニッケル、銅などの非鉄金属相場だ。コバルトは年初から2倍に、ニッケルや銅も2割以上も上昇した。また自動車の軽量化という観点からアルミニウムの価格も上がっている。
反対に逆風を受ける商品が石炭、石油などCO2排出量の多い化石燃料だ。相場はさぞかし下がっていようと思いきや実際には上がっている。一般炭で見ると昨年初にトン当たり50ドル割れを演じた後は大きく反転し110ドルまで急騰。その後70ドルまで反落し再び反転して今は90ドル前後で推移する。排ガス触媒に使用するパラジウムやロジウムも本来は売られるはずが、年初来高値を更新した。なぜか。
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