親の七光りを嫌って岡山を出たプリンスが家業を継ぎ、知事に転じた理由とは。伊原木隆太・岡山県知事に本音を聞いた。
──なぜ知事になろうと考えたのですか。
背景には祖父へのあこがれがあった。小学生のときに天満屋の社史を読み、祖父が解散決議になりかねない最大の危機を乗り切ったことを知った。
伊原木家は2〜4代目が養子で、その時代に適任の人を社長にしていた。父は長男として継いでおり、その流れなら私も社長をそのまま継ぐことになる。だが能力がなければ会社にとって迷惑だ。
岡山では私がどれだけ頑張っても親の七光り。だから祖父のように生まれ故郷を離れて勝負したかった。私立大学に行って寄付金で入学したと思われたくないから、受験したのは東京大学だけ。工学部なのは、海外のビジネススクールに入学するのに経済・経営と関係ない学部のほうが有利と聞いたからだ。就職先もコネ入社と思われるのが嫌で外資系にした。
だがMBAを取得して米国で独り立ちしようと思った矢先、バブル崩壊の打撃を受けた天満屋を立て直してほしいと連絡があった。実家が大変なときに無視できない。
社長だった14年間で、大ケガをした企業体を人並みに歩ける体に戻した。会社を立て直すと、ビジネススクールで学んだことを行政機関で生かしたくなった。人やカネなど限られた資源を最大限に活用して結果を残すことを徹底していないように感じていたからだ。
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