
ながの・ひとし●1951年生まれ。慶応義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。雇用職業総合研究所などを経て現職。専攻は労働経済学・人的資源管理論。
統計を見ると、昔と比べて労働時間はかなり減ってきている。1970年代から80年代の年間総実労働時間は2100時間を超えていたが、最近は1800時間前後に減少している。さまざまな技術を導入し、少人数、短い労働時間で効率よく仕事ができるようになった。
しかし十分に減っているかといえば、そうではない。特に欧州諸国と比べると日本の労働時間は長い。20年前より労働時間は減少し、休暇も取れるようになったが、平日はみんな遅くまで働く。サービス残業のように統計上、表に出てこないものもある。実態的なものも含めて労働時間を減らさなければ、私たちの豊かさは実現できない。
3月に労使が合意し、週40時間を超えて可能な時間外労働時間の上限を、繁忙期の月上限を100時間未満とした。では100時間未満であればいいかというとそうではなくあくまで例外。
100時間未満というのは個人的には少し長いと思う。しかし、突発時、緊急時に対応できるような体制を企業は取っておかなければならない。また、いま人手不足が非常に顕著で、採用も容易でないことを考えると、多少長めに働いてもらう必要が企業側にある。そういう点を考えるとこれが精いっぱいではないか。
労働時間の削減には、法律などの規制を強めたり、残業の割増賃金を高くしたりするやり方がある。規制強化には労働基準監督官の人数を増やすなどコストがかかる。
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