認知症専門医でファイナンシャルプランナー(FP)の資格も持つ長谷川嘉哉医師が、在宅医療の経験から、「高度障害時の保険金請求漏れ」の実態を指摘する。
生命保険の保険金は、死亡時に備えるためにある。だが、死亡ではなく高度障害状態になった場合も、保険金を受け取れる。ただ、どんな状態が高度障害と認定されるのか、その基準を知らない人が、保険加入者のみならず、保険会社の営業担当者にも意外に多い。そのことが保険金の請求漏れの要因となっている。
以前、私が診ていた患者で高度障害状態と思われる人がいた。保険会社の営業担当者に「診断書を書きますよ」と言っても、「その方は寝たきりではないから請求できません」と言われる。結果的に高度障害保険金は下りたのだが、高度障害=寝たきりとのイメージを持っていたようだ。
生命保険の約款で、高度障害と認定される状態が定められている。たとえば体のマヒについては、両手または両足ともマヒになった場合は認定される。しかし、脳梗塞で右半身だけマヒになるような「片マヒ」の状態は認定されない。言語の機能を失う「失語」や、胃壁などに穴を開けて直接栄養をとる「胃瘻(いろう)」は「言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの」という高度障害状態に該当しうる。寝たきりになっていなくても、認定されるケースは少なくない。
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