「ベイルイン」と呼ばれる欧州の銀行破綻処理制度が市場で議論の的となっている。
9月下旬、独銀行最大手・ドイツ銀行の株価が急落した。きっかけは過去の不正販売に関し140億ドル(約1.4兆円)の罰金を米国司法省が求めたとの報道。同銀行はリストラ途上で収益力が低下している(図表1)ため、期間利益をクーポン支払いの原資とする同銀行のCoCo債(偶発転換社債)の価格は急落した。
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だが、「BIS(国際決済銀行)規制上の自己資本比率(普通株のみ)が12%強と厚いドイツ銀行にとって、経営危機にまで直結する話ではない」(みずほ証券シニアクレジット・アナリストの金子良介氏)。にもかかわらず、株価や信用リスク指標などすべてが異例の悪化を示したことのほうが深刻だ。
原因は、「ベイルイン」にある。公的資金による救済を指す「ベイルアウト」に対する言葉で、危機に瀕した場合、まず投資家にリスクに応じた負担を求める制度。納税者負担を極力避ける狙いがある。
健全性審査で不合格となっても、経営不安が高まっても公的支援はなく、自力で資本を増強するしかない。だが、その状態では自力での資本調達は困難なうえに、自己資本比率が一定率まで低下すると、CoCo債については元本削減か株式転換が行われる。さらに実質破綻認定に至れば劣後債なども同様の運命をたどる。
9月のドイツ銀行をめぐる騒動では、投資家が不安から、競って換金売りに走った。ベイルインは各種証券がそのリスク度合いに応じて市場で合理的に価格形成されることを前提に機能するものだが、パニック時にはそれが崩れることは明らかだ。渦中でメルケル独首相が公的支援を否定すると株価は一段と下落した。パニック売りによって、ベイルインは破綻する必要のない銀行まで破綻させてしまうおそれがある。
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