世界の株式市場は底堅く推移している。比較的パフォーマンスが悪いといわれる9月も、MSCIワールド株価指数(オールカントリーズ、現地通貨ベース)は、23日時点で8月末比プラス0.4%と何とかプラスを維持している。TOPIX(東証株価指数)もプラス1.5%と小幅高だ。
今年は、原油価格の急落と世界経済のリセッション(景気後退)入り懸念から、2月11日に年初来安値をつけたものの、その後は反発。MSCI指数は17.8%上昇している。貢献したのは新興国だ。特に厳しい経済状況にあるBRICS諸国のほか、中南米やアジアなどで、幅広く株価が回復している。
国際商品市況が落ち着き、2月当時は強く懸念されていた中国経済も今のところ小康状態にある。そんな中、市場の目は先進国の金融政策に注がれている。9月20~21日に行われた日米の金融政策会合では、日本銀行が操作対象を量から金利にシフトしたことがより明確になり、量はよりフレキシブルになる可能性が高まった。一方、FOMC(米連邦公開市場委員会)では利上げが見送られた。政策に大きな変化がなかったとの見方から、市場が一方向に大きく動く展開にはなっていない。FOMCの声明文では、利上げの条件は整ってきたと年内利上げをにらむ文言が見られたが、景気循環の側面から利上げを急がなければならない局面かというと、必ずしもそうではない。
高まる金融緩和の必要性
米国の景気循環を示す代表的な指標に、民間調査機関のコンファレンスボードが発表する景気動向指数がある。このうち先行指数と一致指数の前年同月比を比較したものが図表1だ。先行指数は一致指数に比べて振り幅が大きく、景気拡大局面でも一致指数を下回る場合がある。当該局面では景気先行き不安が強まり、1990年以降では例外なく金融緩和が実施されてきた。
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図表1の(1)は94年末に起きたメキシコ通貨危機を受けた景気減速への対応、(2)は98年8月のロシア財政危機や大手ヘッジファンドLTCMの経営破綻によって悪化した景況感への対応、(3)はイラク戦争(2003年3~5月)後の景気伸び悩みを受けた追加利下げ、(4)は欧州債務危機などから景気減速に見舞われたことに対する量的金融緩和第3弾の導入といった具合だ。景気拡大局面の中で起きる短期的な景気の波に金融当局が適切に対処したことで、景気後退を免れ、景気拡大の長期化にも貢献した。
そして現在、16年5月から8月まで4カ月連続で先行指数が一致指数を割り込んでいる。先例に基づけば、追加金融緩和か、追加利上げを待つ必要が出てきたといえる。
市場では12月13~14日のFOMCでの利上げがコンセンサスとなっている。だが、FOMCが掲げるデュアルマンデート(金融政策の二つの目標、雇用の最大化と物価安定)のうち、物価安定目標が達成されていないため、利上げを待つ必要があるという見方もある。米商務省が発表するPCE(個人消費支出)価格指数は、前年同月比プラス2%が物価安定目標とされているが、16年7月時点でプラス0.8%と目標を大きく下回っている。同指数が少なくとも前年同月比プラス1%台半ば以上に達してなお上向きで、個人消費、雇用、企業活動などの周辺指標も上昇局面にあることを確認してから利上げに踏み切っても遅くはない。
年末にかけてそのような情勢になれば、利上げする可能性は十分ある。その場合、株式市場は米国経済の底堅さを歓迎する格好で金融相場から業績相場へとシフトし、上昇局面が続くと見込まれる。もちろん、日本株もその恩恵を受けられる。






















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