経営者のための事業承継・M&A活用フォーラム ~東洋経済フォーラム2014~

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体験発表(東京会場)
「譲渡という選択 ~中小薬局存亡の処方箋」

リード薬局 執行役(前代表)
田代 雅也 氏

高知県南国市で調剤薬局「リード薬局」を経営していた前代表の田代雅也氏は今年3月、会社を最大手の調剤薬局グループに譲渡した。薬剤師のおばと開局した2002年以来、業績は好調だったが、慢性的な薬剤師不足のため、70歳を過ぎたおばがフルタイムで働かなければならない状況に加え、「医療費増大で、国の引き締めが予想されるので、今後は、中小薬局が単独で生き残るのは厳しいと判断した」と、田代氏は話す。大手グループに入れば、スケールメリットで仕入れコストなどを削減、調剤過誤防止などのノウハウも導入できる。南海大地震が予想される中、設備更新リース契約で保証人のサインをした時に「東日本大震災の光景が頭をよぎり、破産のリスクを考えるようになった」ことも決断を後押しした。譲渡先からは、給与、労働条件の面で従業員に不利益な変更はしない約束を取り付けた。また、薬剤師を派遣してもらえたことで、従業員の連続休暇や、おばのリタイアの環境も整った。田代氏は「個人保証が外れ、よく眠れるようになった」と述べた。案件を担当したMACPの土屋淳氏は「縁とタイミングを逃さずに究極の経営判断をしていただけた」と、田代氏の決断力に敬意を表した。

モデレーター:
M&Aキャピタルパートナーズ 土屋淳氏

講演・総括
「中堅・中小企業のための
M&A活用法/事業承継・M&A成功のポイント」

M&Aキャピタルパートナーズ 代表取締役
中村 悟 氏

国内企業の社長の4分の1以上は60歳以上で、後継ぎもいない。後を継げる息子がいない。経営環境を考えると個人保証を負わせてまで継がせたくない。幹部社員への承継も株式買い取りの資金調達や個人保証引き継ぎの点で難しい――。そんな悩みを抱える経営者に対し、MACPの中村悟氏は「大事に守ってきた事業をいかに次の世代に伝えるか、を決めることはオーナー社長様にしかできません。友好的M&Aはその有力な手段の一つ」と語る。買われた企業は永続性と発展性を確保し、従業員も雇用の安定を得られる。オーナーは創業利益と個人保証解除という安心を手にする。買い手側もシェア拡大、新分野進出を迅速に進めることができ、「全員が幸せになれるソリューション」と言えるのだ。スピーディーな交渉対応でつねに本気を示すことや、引き継ぎを含め2~3年の期間を見込む必要があるといった、注意点を指摘した。

同社は中小・中堅企業の事業承継型のM&Aに特化し、前期は過去最高の35件の成約を支援した。同社では着手金や企業価値算定の費用を取らず、独自の成功報酬型システムで手数料も抑えており、「気軽に相談いただきたい」と呼びかけた。

※M&Aキャピタルパートナーズ(6080)は、12月15日付で東証一部に市場変更しました。