「遠距離看病」の負担を少しでもやわらげるために 小児入院を支援する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」
「遠距離看病」家庭をサポートする
「ドナルド・マクドナルド・ハウス」
家庭に様々な負担をかけてしまう遠距離看病だが、こうした事態はなぜ生じてしまうのだろうか。実際、遠距離看病となった理由を尋ねると、「その医療機関でなければ適切な治療が受けられないと指定されたから」という理由が多くなっている。
難病の場合、適切な医療機関はどうしても少なくなってしまい、遠距離であってもその病院を選択せざるをえない。ただでさえ子どもの病状が心配なのに、付き添いによる負担がのしかかるのは家族にとってつらいことだろう。
こうした負担を少しでも軽減するため、高度小児医療を行う病院に隣接されているのが、病気と闘う子ども達とその家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」だ。公益財団法人 ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンによって設置・運営されている同ハウスは、"HOME AWAY FROM HOME(我が家のようにくつろげる第2の家)"をコンセプトに、遠隔地から入院している子どもの家族が、自宅にいるのと同じように過ごせることを目的とした施設となっている。
ドナルド・マクドナルド・ハウスは海外では40年の活動実績を持ち、37カ国342カ所(2014年11月末現在)に建設されている。日本でも2001年12月、東京都世田谷区の国立成育医療研究センターの隣に建設された「せたがやハウス」をはじめ、北海道、宮城県、栃木県、東京都、愛知県、大阪府、高知県の9カ所で建設・運営されている。来年春には福岡県にも建設が予定されている。
どのハウスもプライバシーが守られるベッドルームのほか、キッチン、リビング、ダイニングなどが備えられている上に、利用料は1人1日1000円と、経済的負担にも配慮した形になっている。また、地域ボランティアの支援によって運営されているため、地元の小学校や青年会議所などとの交流など、地域との深いつながりがあることも特徴だ。
家族に大きな負担をかけることになる遠距離看病だが、それを少しでも解消しようという試みが一方で存在する。こうした病気と闘う子どもたちや家族を支援しようという試みが、遠距離看病に悩む家庭を少しでも救うことになることを願ってやまない。