3月1日、長期金利(10年国債利回り)は過去最低となるマイナス0.075%をつけた。今後についても「長期金利はマイナス圏がほぼ常態化していかざるをえないのではないか」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは見る(図1)。
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こうした異常な状況を招いている主役は外国人投資家だ。図2にあるように、外国人投資家は日本国債を大きく買い越してきている。
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そもそもマイナス利回りの国債を買って満期まで持っていると、償還額が購入額を著しく下回り、クーポン収入でその償還損をカバーできないので損失を被る。しかし、外国人投資家はドルを円に換えて日本国債を買う。ドルの円転時には、通貨スワップと呼ばれるデリバティブ取引を行うことが多い。その際の金利を示すドル円のベーシス・スワップ・スプレッド(1年物)は、直近で0.6%台まで拡大している。つまり、ドルを円に換える時点でプラスの利回りとなっているので、マイナス利回りの日本国債を買ってもトータルでプラスの収益を確保できるのだ。
ではなぜドルを円に換える金利が高水準にあるのか。それはドルに対しては世界的に需要が強まっている一方で、円の需要が弱いからだ。
ドル円スプレッドは2013年末には0.1%程度しかなかった。しかし、14年1月にFRB(米国連邦準備制度理事会)がテーパリング(量的緩和の縮小)を開始。15年12月には9年半ぶりの政策金利引き上げが行われた。この過程でドルは、金利上昇期待から需要が強まっていった。
一方、日本銀行は13年4月に異次元緩和政策を導入、14年10月に追加緩和、そして今年2月にはマイナス金利政策を導入。日本円の金利上昇期待は遠のく一方で、日本円の需要はますます減退した。そうした両国の金融政策の違いからくるドル需要の強さ・円需要の弱さを反映する形でドル円スプレッドは拡大し、直近、0.6%台まで広がった。
今後の日本国債の利回りを考えるときも、このドル円スプレッドがカギを握る。
金融政策から見ると、米国はさらなる利上げを模索し、日本はマイナス金利幅拡大の可能性がある。米国は景気拡大に陰りが見え、利上げはもうできないのではという見方もあるが、最近の中東、北朝鮮などの地政学リスクを考えると、ドル資産へのニーズはなお強いだろう。
さらに日銀のマイナス金利政策によって、国内債券は地方債、社債なども利回りが急速に低下。国内投資家のドル債投資意欲は高まる一方だ。
つまり、今後もドル需要は強まる方向にあり、ドル円スプレッドはさらに拡大していく可能性が高い。日銀がマイナス金利幅を広げるようなことがあれば、その流れは加速するだろう。
ドル円スプレッドの拡大は外国人投資家による日本国債投資意欲を増し、国債価格の上昇、つまり金利低下の加速へとつながる。






















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