そもそも英語はまったく得意でなかった。日商岩井時代は正直、最低レベル。入社後に生まれて初めて受けたTOEFLのスコアが散々なもので、この水準から米国に留学するのは大変だった。
筆記試験は得意だったから留学前にスコアは急上昇したが、それでもリスニングとコンプリヘンション(理解)はまだまだ。留学中は会話についていけず本当に悔しかった。頭の中で日英翻訳をして話すから、言葉が出るまでに1秒はかかる。そうするとだいたい、考えていることを先に言われてしまうのだ。
こんな私の英語が上達したのは、GEの米国本社で働き始めた最初の半年だった。スマートフォンどころかeメールもない時代。重要なことは、留守番電話のようなボイスメールで連絡していた。毎日20件ぐらい来るのだが、これを1件ずつ試行錯誤してから返信していた。
最初は録音制限時間の90秒に収まらないし、内容も自分で聞いてもわからないほどひどい。単語や表現を変えながら10回ぐらいやり直すと、何とか伝わるレベルになる。でもまだ冗長。90秒あるといっても、ジャック・ウェルチ会長(当時)はじめGEの幹部は最初の30秒ぐらいしか人の話を聞かないのだから、スピーディかつ的確に伝えなければならない。だからさらに10回やり直す。すると、われながらなかなかの発音と表現で明確・簡潔に用件を伝えられるようになる。結局、1件を返すのに20回ぐらい試行錯誤し、ボイスメールへの応答だけで毎日3時間は費やしたが、この時間が結果としてすばらしい練習になった。
単語は中学英語で十分 内容と表現を磨け
この経験で体得したのは、英語は英語として勉強してもダメだということ。ネイティブのようにうまく話そう、美しい発音にしようとするよりも、重要なのは自分が何を考えているのか、それをどう短くパンチのある言葉で表現するか。要はコンテンツ(内容)とデリバリー(表現)で決まるのだ。母語でさえ誰もが自分の考えを端的に伝えられるわけではないことを考えると、これらの重要性がわかるだろう。
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