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窮地を救った革命児 「スーパードライ」の今昔

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「ビールは苦くて当たり前」。そんな常識を打ち破ったのが、1987年3月に発売された「アサヒ生ビール スーパードライ」だった。すっきりとした辛口ビールは日本中から支持を集める。発売3年目で年間販売量は1億ケースを超えた。業績不振にあえぐアサヒの起死回生の一発となったばかりか、社会現象にもなった。

現在でも人気は持続している。ビール類ブランド別販売数量で2位以下に2倍以上の差をつける。日本のビール消費量の実に半分がこのビールである。アサヒの経営は「スーパードライ一本足打法」だ。2014年度のグループ営業利益の95%をアサヒビールが稼いでいる。その内訳は公表されていないが、アサヒビールの売上高の6割以上がビールであり、そのほとんどがスーパードライだ。

超大量生産のロングセラー品であるため、当然利益率も高い。「アサヒはスーパードライを売っていれば儲かる。広告宣伝も販促もそこに集中投下できるのが強み」(業界関係者)。逆に見れば、ほかのブランドは弱い。ブランド別売上高で5位以内はスーパードライのみだ。

近年は業務用に氷点下の生ビールを提供する「エクストラコールド」ビールサーバーの設置強化や、期間限定の「エクストラコールドBAR」の展開、高価格帯品「スーパードライ ドライプレミアム」の発売などブランド強化に励んでいる。今年は「スーパードライエクストラシャープ」などスピンオフ製品の投入で売り上げ拡大につなげようとしている。

ただ、足元の販売状況は芳しくない。スーパードライの5月の販売動向は前年同月比約4%減。昨年5月は消費増税後の反動減で販売数量が低水準だったが、さらに下落している。発売2年目のドライプレミアムはギフト商品の展開拡大で数量は伸ばしているものの、プレミアムビールブームが一巡しており、思惑どおりとはいえないようだ。

派生品「エクストラシャープ」も、販売計画の半分程度にとどまっている。「派生品は出せば数字を作れるが、肝心のブランドの本丸が悪くなる場合が多い」(ライバルメーカー社員)。サッポロビールの「ヱビス」も派生品を多く出したことで本体の「ヱビス」の数量減が深刻だ。

そこに追い打ちをかけるのが、今秋のサントリーの新商品だ。業界関係者によると、商品名は「ザ・モルツ」になるという。「ザ・プレミアム・モルツ」がサントリーの基幹ビールだが、これより価格帯の低い商品として投入するとみられる。もともとザ・プレミアム・モルツは他社の高価格帯商品と定番商品との中間程度の価格設定。そのため、新商品は他社の定番商品より安い価格設定にしてシェアを奪いに行くものとみられる。スーパードライが打撃を受ける可能性は高い。

落合信彦を広告に起用。その姿は熱く、渋かった…
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