妻とプレハブ小屋で始めたカメラ店。それが今や年商1600億円の通販王となった。その原動力はほかならぬ高田明のパフォーマンスである。高田は自分が売り方の才能を持ち合わせているとは思っていない。あくまで「素」の自分が消費者に評価されていると考えている。演出は簡単に見透かされていると思っているし、「運は1回はあっても100回はない」と高田は話す。
「名政治家は人の心を読む。名医とは患者の心を感じられる人でしょ。われわれもそうだが、それを実現するには自分をつねに更新していかなくてはいけない」
原点はラジオであり、今でもテレビよりラジオが好きだ。5分枠で話すとき、1分ずつ五つの商品機能について話しても、リスナーの反応は鈍い。機能は2分間で二つに絞り込む。残り時間は、自分の利用方法など商品にまつわるさまざまな話に使っていく。「5分間で五つの機能を紹介するより2倍は売れる」。そういうことを経験から学んできた。
経営を退いても商売の熱意は変わらず
手探りで始めたテレビショッピング。思い出深いのは、ソニーのビデオカメラ「ハンディカム」やシャープの「液晶ビューカム」を売ったときだった。カメラ店の経験から売れることには自信があり、メーカーに頭を下げて商品を仕入れた。実際の流行よりも少し早いタイミングで売り込んだのがポイントだった。
「緻密な計算? それはしていない。商品ごとにどういうふうに伝えればいちばんよいのかを毎日考えている。課題ばっかり、試行錯誤の連続。お客さんが求めていることと少しでもずれたら、もうダメだから」
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