サブプライムショックに襲われた8月の米国は、潤沢に流入していた海外からの投資マネーの逆流を招いた。米財務省発表の対米証券投資を見ると、ロシア・LTCM危機で揺れた1998年8月以来、9年ぶりの流出超(売り越し)に。マネーフローの動きからも、サブプライム問題が及ぼす歴史的な経済ショックの大きさが確認できる。
米国から退避した流出額(ネット)は706億ドル(7兆7660億円)。うち海外投資家の対米証券投資で361億ドル、米国投資家の海外証券投資で345億ドル。サブプライムショック前の6月はそれぞれ1217億ドル、218億ドルの流入超だったことを考えると、米国から海外への8月のリスク回避額は6月比1705億ドル(18兆7550億円)も巻き戻されたことになる。
「ドル資産逃避」額を国・地域別に見たのが下表。地域によって避難資産の内容が異なるのがわかる。アジアでは日本、中国ともに米国債の大量売却が際立つ。投資・窓口規制、預金準備利率引き上げなど国内事情も投資抑制に働いた。ヘッジファンドが登記上の拠点を置くカリブ諸国では、米株式の投げ売りが起こった。欧州もカリブ諸国とマネーフローは似ているが、特に英国では湾岸産油国のオイルマネーが多く流れ込むエリアとあって、安全資産の米国債を買い増す動きが強まった。

8月ショックについて、みずほ総合研究所の長谷川克之主席研究員は「極端な混乱が8月に起こったが、基本的には資金の行き先としての米国の位置づけは変わらない」と分析する。確かに9月の対米証券投資額では、264億ドルの流入超(買い越し)に回復した。
投資先の多極化進みドル離れも徐々に…
ただ、国・地域間で9月の売買資産のトレンドに特徴が出ている。中国は米国債を依然24億ドル売り越ししているが、代わりにエージェンシー債を80億ドル買い越した(8月は27億ドルの買い越し)。日本は社債を106億ドル買い越しに出た。また、ケイマン諸島では8月の反動からか、株式に戻ってきた。
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