―グローバル業務革新を支えるIT基盤の構築―
協賛:シトリックス・システムズ・ジャパン
基調講演
「デジタル化による新たな産業革命
~欧州発Industry4.0~」
ローランド・ベルガー 日本共同代表シニア パートナー
ドイツが製造業復権のために生み出した構想「インダストリー4・0」について、ローランド・ベルガーの長島聡氏は、「機械が、社会、機械同士、人間とつながることで、効率的生産を可能にしようという試みで、成果も上がってきている」と述べた。長島氏は3つの方向性、システムのつながりを構造化するモジュール化、仮想空間で企画設計したものを実世界で再現するバーチャル・シミュレーションといった「つながる」、人とコミュニケーションするロボットや3Dプリンターによるもの作り、エネルギーマネジメント、バーチャル設計で高生産性と低コスト化するデジタル工場など「代替する」、ビッグデータによる将来予測や自動運転技術の向上など「創造する」に分類。「日本流のインダストリー4・0を構築して欲しい」と訴えた。
ゲスト講演Ⅰ
「日産自動車におけるビジネス価値創造の取り組み
~グローバルIS/IT戦略『VITESSE』~」
日産自動車 グローバル情報システム 本部本部長
日産自動車の能丸実氏は、ビジネスへの貢献を目指したIT部門の取り組みを紹介した。同社は、BESTプログラム(2005~10年)で、IT関連のコストを明示できるようにアプリケーションポートフォリオを整理、プロセス全体を俯瞰できるIT部門の強みを生かしたプロセス定義などを実施。次に始動したVITESSEプログラム(11~16年)では、経営を支えるIT戦略を展開している。現在、11のブレークスルーテーマを設定。アライアンスを組むルノーなどとの情報の連係推進、利益コスト分析機能を備えたシステムの構築、車両・顧客・品質情報の統合一貫管理などを進める。能丸氏は「新たなバリュー作りに向け、同様の課題に取り組む皆さんと連携したい」と呼びかけた。
ゲスト講演Ⅱ
「ICTで世界を『つなぐ』
─経営方針とICT戦略の深化─」
IHI理事 情報システム部長
IHIは、13年度経営方針で、「つなぐ」をキーワードにしたグループの成長実現を掲げた。グローバル化では、従来、各事業部が海外進出の際に個別に構築していたネットワークインフラを共通化。セキュリティ対策等を集約する世界5拠点を定め、それらを結ぶネットワークを基盤とする仕組みに変えた。同社の大槻靖氏は「スピード重視で整備してきたので今後はバランスの取れたガバナンスを確立する」と話す。また、製品サービスとICTをつなぎ、ビジネスに貢献する戦略も推進する。大槻氏は「ICTでビジネスに直結する価値を生みたい。今後も、経営戦略・事業戦略に立脚したICT活用を推進することで、さらに付加価値を高める」と、経営へ貢献していく考えを述べた。
ソリューション講演
「製造業の競争力を支える新たな情報インフラ」
シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング部
製造業の事業環境は、グローバル化など横の広がりとともに、サプライチェーンなど縦のつながりの強化が進む。そのため、海外拠点とサプライヤーや販社が求める情報共有の範囲は広がる一方、「共有した情報をどう守るかというジレンマを抱えてしまう」とシトリックス・システムズ・ジャパンの𡌶(はが)俊介氏は指摘する。この問題に有効なアプローチが、同社で提供するデスクトップ仮想化だ。クライアント端末からサーバーで実行するデスクトップを画面転送で遠隔操作するため端末にデータが残らない。特に、最近はGPUの仮想化が可能になり、CADも効率よく使えるようになったことで仮想化を検討する企業は増えている。𡌶氏は「クライアント端末を私物も含めて自由に選択できる副次的効果もある」とアピールした。
―ワークスタイル変革を支えるIT基盤の構築―
協賛:シトリックス・システムズ・ジャパン、シスコシステムズ
基調講演
「テレワークという働き方について」
厚生労働省 労働基準局 労働条件政策課調査官
ICTを活用した場所にとらわれない働き方「テレワーク」が、さまざまな観点から注目されている。厚生労働省の古瀬陽子氏は、「活力ある社会経済維持のため、在宅勤務環境が整えば、育児に伴う女性の離職防止につながる」と指摘した。政府は経済・女性・ITの各政策に関する閣議決定で、テレワーク推進に言及。セミナー開催や個別企業の支援、テレワークモデル構築のための実証事業といった施策を展開し、今後はサテライトオフィスの整備といった施策も検討していく予定。古瀬氏は「優秀な人材の流出防止、労働力人口減少緩和、地域活性化、地域の雇用創出、ワーク・ライフ・バランス向上などさまざまな面で、テレワークは、企業、社会、働く人にプラス効果をもたらす」と述べた。
事例講演Ⅰ
「『泣ける! 広島県(T▽T)/ 』の新たなワークスタイルへ向けた挑戦(商工労働局へのシンクライアント250台導入プロジェクト)」
広島県 情報化統括責任者兼 業務改革責任者(CIO)
広島県のイメージアップに取り組む桑原義幸氏は「新たなパワーを県民サービスに向けるため、役所から端末を持って飛び出して働く、少しだけかっこいい行政マン」を目指してきた。そこで、企業誘致、観光などで県を売り込む営業部隊、商工労働局に、ソフトウエアや業務データをサーバーで集中管理して端末に配信する、シンクライアントシステムを導入。庁外でも大半の業務を処理できるモバイル環境を整えた。効率的な働き方を目指し、職員が決まった机を持たないフリーアドレス制を導入。桑原氏は「コミュニケーションが活性化し、アイデアを出しやすい環境になった」と、その効果を語った。
ソリューション講演Ⅰ
「働き方が変わる!これからのITの使い方」
シトリックス・システムズ・ジャパン チャネルアンドマーケティング本部プロダクトマーケティング部シニアマネージャー
シスコシステムズ システムズエンジニアリング センターオブエクセレンスシニアマネージャー
場所にとらわれないワークスタイルを実践する、シスコシステムズの財津健次、シトリックス・システムズ・ジャパンの竹内裕治の両氏は、1日の仕事を想定したIT活用例を紹介した。竹内氏は、外出先でもさまざまなデバイスを使い分けられる仮想デスクトップのXenDesktopを利用。モバイル端末に合わせた表示もできる。財津氏は、朝8時からの米国とのビデオ会議に自宅から参加を想定。暗号化して会社ネットワークに接続できるルータを使い、セキュリティを確保。両社のソリューションを組み合わせることで、場所や時間に依存せず、安全に業務や会議が可能となる。両社は体験用の施設やセミナーを用意している。
事例講演Ⅱ
「丸紅におけるセキュアなリモート業務環境の構築」
丸紅 情報企画部部長付
丸紅の木村直喜氏は、ホテルでビジネスセンターのPCに保存したデータを消し忘れるなどの情報漏洩防止策や、会社システム以外のサービスを業務利用するシャドーIT排除などを図るリモート業務環境構築を説明した。画面転送型のXenAppを使って、セキュリティとユーザー利便性の両方を意識した環境は、評価が高いという。BYODについて木村氏は、「リスクを排除しながら、個人端末への会社管理を最小限にとどめる必要がある」と指摘。そのためのMAM(モバイルアプリケーション管理)のXenMobileを活用する。そのメリットについて、公私をまたいだコピーやダウンロードができない、分離の徹底などを挙げた。
ソリューション講演Ⅱ
「ITによるワークスタイル変革で実現する組織力強化」
シトリックス・システムズ・ジャパン チャネルアンドマーケティング本部本部長
労働人口減に加え、震災やパンデミックなどのリスクが増している。その中で、職場を中心とする考えを脱し、場所に依存しないことで、変化やリスクに強い働き方が求められている。シトリックス・システムズ・ジャパンの鈴木和典氏は「在宅勤務、災害対策、グローバル化と時差を超えるコミュニケーション、といった目的ごとに検討されることも多い」と、現状に疑問を呈した。そして「ワークスタイル変革という共通点をとらえ、そのための応用のきくシンプルな共通インフラを設計すべきです」と全体最適化を主張。「そのカギを握るのは仕事環境の仮想化にあると考えます」と、同社が持つ技術の重要性を訴えた。