エグゼクティブフォーラム

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東洋経済新報社主催エグゼクティブフォーラム「グローバル業務革新を支えるIT基盤の構築」と「ワークスタイル変革を支えるIT基盤の構築」が10月、東京・千代田区で開かれた。多様なワークスタイルを支えるIT技術やその導入事例が紹介された。

―グローバル業務革新を支えるIT基盤の構築―
協賛:シトリックス・システムズ・ジャパン

基調講演
「デジタル化による新たな産業革命
~欧州発Industry4.0~」

長島聡氏
ローランド・ベルガー 日本共同代表シニア パートナー

ドイツが製造業復権のために生み出した構想「インダストリー4・0」について、ローランド・ベルガーの長島聡氏は、「機械が、社会、機械同士、人間とつながることで、効率的生産を可能にしようという試みで、成果も上がってきている」と述べた。長島氏は3つの方向性、システムのつながりを構造化するモジュール化、仮想空間で企画設計したものを実世界で再現するバーチャル・シミュレーションといった「つながる」、人とコミュニケーションするロボットや3Dプリンターによるもの作り、エネルギーマネジメント、バーチャル設計で高生産性と低コスト化するデジタル工場など「代替する」、ビッグデータによる将来予測や自動運転技術の向上など「創造する」に分類。「日本流のインダストリー4・0を構築して欲しい」と訴えた。

ゲスト講演Ⅰ
「日産自動車におけるビジネス価値創造の取り組み
~グローバルIS/IT戦略『VITESSE』~」

能丸実氏
日産自動車 グローバル情報システム 本部本部長

日産自動車の能丸実氏は、ビジネスへの貢献を目指したIT部門の取り組みを紹介した。同社は、BESTプログラム(2005~10年)で、IT関連のコストを明示できるようにアプリケーションポートフォリオを整理、プロセス全体を俯瞰できるIT部門の強みを生かしたプロセス定義などを実施。次に始動したVITESSEプログラム(11~16年)では、経営を支えるIT戦略を展開している。現在、11のブレークスルーテーマを設定。アライアンスを組むルノーなどとの情報の連係推進、利益コスト分析機能を備えたシステムの構築、車両・顧客・品質情報の統合一貫管理などを進める。能丸氏は「新たなバリュー作りに向け、同様の課題に取り組む皆さんと連携したい」と呼びかけた。

ゲスト講演Ⅱ
「ICTで世界を『つなぐ』
─経営方針とICT戦略の深化─」

大槻靖氏
IHI理事 情報システム部長

IHIは、13年度経営方針で、「つなぐ」をキーワードにしたグループの成長実現を掲げた。グローバル化では、従来、各事業部が海外進出の際に個別に構築していたネットワークインフラを共通化。セキュリティ対策等を集約する世界5拠点を定め、それらを結ぶネットワークを基盤とする仕組みに変えた。同社の大槻靖氏は「スピード重視で整備してきたので今後はバランスの取れたガバナンスを確立する」と話す。また、製品サービスとICTをつなぎ、ビジネスに貢献する戦略も推進する。大槻氏は「ICTでビジネスに直結する価値を生みたい。今後も、経営戦略・事業戦略に立脚したICT活用を推進することで、さらに付加価値を高める」と、経営へ貢献していく考えを述べた。

ソリューション講演
「製造業の競争力を支える新たな情報インフラ」

𡌶俊介氏
シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング部

製造業の事業環境は、グローバル化など横の広がりとともに、サプライチェーンなど縦のつながりの強化が進む。そのため、海外拠点とサプライヤーや販社が求める情報共有の範囲は広がる一方、「共有した情報をどう守るかというジレンマを抱えてしまう」とシトリックス・システムズ・ジャパンの𡌶(はが)俊介氏は指摘する。この問題に有効なアプローチが、同社で提供するデスクトップ仮想化だ。クライアント端末からサーバーで実行するデスクトップを画面転送で遠隔操作するため端末にデータが残らない。特に、最近はGPUの仮想化が可能になり、CADも効率よく使えるようになったことで仮想化を検討する企業は増えている。𡌶氏は「クライアント端末を私物も含めて自由に選択できる副次的効果もある」とアピールした。

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