企業成長を加速する、
次世代のカスタマーエンゲージメント
基調講演
「企業経営に変革をもたらす
ネット・プロモーター経営」
ベイン・アンド・カンパニーの森光威文氏は、カスタマーエクスペリエンスについて「顧客がその会社のファンになれば、再購入率が上がり、ポジティブな口コミ発信など大きな利益をもたらす」とその重要性を強調する。だが、従来の一般的な顧客満足度は業績との相関が見られず、経営指標として扱いにくい。そこで長年の研究の末、開発されたのが、親しい人に推奨してくれる可能性を尋ねるネット・プロモーター・スコア(NPS)だ。米国のNPSリーダー企業は競合平均の2倍の成長率を記録しており、「業績の先行指標としても有効」になっている。
さらに、森光氏は「NPSの本質は、調査を起点にお客様と対話し、社員の行動を顧客志向に変えることにある」と指摘。調査で取得した顧客の声については、現場で考え、行動し、顧客とコミュニケーションする、という現場改善ループを回す一方、経営側も顧客からのフィードバックを分析し、経営として優先順位を決めて施策を打つ。森光氏は「コストアップしないためには優先順位付けが必須。顧客ロイヤルティ向上への取り組みは最大の成長ドライバーになる」と訴えた。
第1回事例講演
「NPSを基軸としたメットライフ生命の
カスタマー・セントリシティ経営」
カスタマー・セントリシティを掲げるメットライフ生命保険の谷貝淳氏は「保険会社は、既存顧客からの収入割合が圧倒的に高い」という事情から顧客体験改善の必要を示し、その取り組みを紹介した。社内に対しては、NPSと、顧客一人当たりの支払保険料や加入保険数との相関を示し、営業パーソンらに顧客体験の重要性を再認識させた。その上で、顧客に対しては詳細な保険内容、メットライフ生命の高い財務健全性について丁寧に説明し、契約後のお礼を欠かさないよう徹底。その進捗と改善状況はつねにマネジメントメンバーで共有する等、「カスタマー・セントリシティの実践に、全社員一丸となって取り組んでいる」と述べた。
第2回事例講演
「顧客満足を経営に活かす
カスタマーセンター作り」
デルの金子知生氏は「お客様に喜んでもらうために最も大事なのは人」と述べ、スタッフの高いモチベーションを土台に、NPSを高めるセンター運営を説明した。宮崎市の中心市街地というアクセス良好な立地を生かし、コミュニケーション能力に優れ、キャリアアップ志向と成果主義という仕組みに適合した「デルでハッピーになれそうな」人材を正社員として採用。6週間にわたるトレーニングで、オペレーターでなくエンジニアとして鍛え上げる。また、空きポジションへの応募者から成績と面接で選抜する昇進方式で、社員の意欲を引き出し、「お客様の心に刺さる」対応を目指している。