稼ぐ力を高める!日本企業の
グローバルトレジャリーマネジメント
~成功事例に学ぶグローバル財務管理~
グローバル財務管理
システム導入事例
ローランドの子会社で業務用プリンタなどコンピュータ周辺機器を手掛けるローランドディー・ジーは、2013年に海外販社の完全子会社化を実施。「グローバル・ワン」の方針を掲げてグループを一つにすることに向けた変革を進めている。堀田修史氏は「従来は、円建てで日本から製品を輸入することで海外販社が負っていた為替リスクを本社が管理し、ガバナンス強化を図るため、資金のモニタリングが必要だった」とキリバ導入の狙いを述べた。
SWIFT(国際銀行間金融通信協会)とキリバの組み合わせは、自動化もスムースで、すでに取引のある地場銀行の口座をそのままにできる。堀田氏は「クラウドベースなので、導入の作業負担も少なく、後から機能を増やすこともできる。財務管理体制を少しずつ整備している当社に合っている」と語った。
特別講演
「日本経済の変化と企業経営」
経済産業省の「日本の『稼ぐ力』創出研究会」座長も務める伊藤元重氏は、日本経済を動かした今回の日銀の金融緩和政策について「ルビコン川を渡った」と表現。「もうデフレ経済に後戻りすることはなく、今までとは違う今後の経済への対応が企業経営に問われる」と述べた。日銀が容易に売り戻せない長期国債を買い入れたことで「"背水の陣"の覚悟がマーケットに伝わった」と指摘。円安になっても輸出が伸びない、という悲観論に対しては「企業が円安定着を判断してから、新たな戦略をとるまでにはタイムラグがある」と説明した。また、金利については、デフレ下で名目金利より実質金利(=名目金利-インフレ率)が高い状況が続いていたが、物価上昇率2%を目指す金融政策により、実質金利はマイナスになっていることを指摘した。
こうした市場環境の中で放つアベノミクス第三の矢について、伊藤氏は「ただの成長戦略ではなく、民間投資を喚起する成長戦略」であることに注目。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革のほか、政治的に困難を伴う法人税引き下げを行おうとするのも「消費や投資を喚起する民間需要サイドへの影響が大きいと考えているからだろう」との見方を示す。電力システム改革も、既存電力会社の活性化や他業種からの新規参入で、膨大な投資を促す。
伊藤氏は「デフレ下で眠っていた日本は、少子高齢化、グローバル化、技術革新という三つの大きな変化への対応が遅れてしまった。しかし、デフレが終わり、企業は"稼ぐ力"のために決断をしなければ、脱落することになる。川を渡った先の新しい風景を見ていただきたい」と訴えた。
グローバル財務管理ソリューション紹介