新しいルノーが掲げるフィロソフィ
先進的なデザインで、お洒落なイメージをもっとも感じさせてくれるフランスの自動車メーカー〈ルノー〉が、新しい発想からデザインを再構築している。

ルノーデザインの革新は、同社のデザイン担当常務で、チーフデザイナーでもあるローレンス・ヴァン・デン・アッカーの創造力から始まったのだという。ルノーが企業理念としている「ヒューマン セントリック=人を中心としたクルマづくり」に立ち返り、新しい戦略を練り直した。そこから導き出されたのが、人生をひとつの円環「サイクル・オブ・ライフ」としてとらえるという発想だ。
6つのライフステージ
これは人生=ライフサイクルを6つのステージに分け、それぞれのシーンにあったデザインや機能、そしてテーマカラーを持ったクルマをリリースしよう、ということである。
その6つとは、人と人が出会い恋に落ちる=LOVE、2人は世界を旅する=EXPLORE、家族を持つ=FAMILY、働いて充足する=WORK、余暇を楽しむ=PLAY、賢さを得る=WISDOM、というもの。そしてその第1弾が、“恋に落ちる”というコンセプトで開発されたルーテシアというわけだ。

ただ、テーマは違えど、一貫したデザイン戦略の下につくられるモデルたちは、すべて“シンプル”、“官能的”、“温かみ”という3つのキーワードで表現されている。そのデザインは、「自然界に純粋な直線は存在しない」というチーフデザイナーの考えから、自然界の曲線をモチーフにしている。それが、すなわちヒューマン セントリックという企業理念に近づくことでもあるのだ。
官能的なラインを描く、注目のホットハッチ
新コンセプトに基づいて製作されたルノーが体感できるイベントが行われた。明治神宮外苑絵画館前で開催された、日本最大級のクリエイティブイベント 「TOKYO DESIGNERS WEEK 2014」に出展したルノーのブースに展示されている〈ルーテシア〉を見に行ってみた。

確かに曲線で構成されたルーテシアのエクステリアは、これまでのモデルには見られないものだった。ダイナミックではあるが、決して攻撃的ではない。水や空気にインスパイアされたというだけあって、とても滑らか、かつ官能的なラインを描いている。テーマカラーである赤も相まって艶かしいのだが、どこか健康的である。それが“恋に落ちる”ということなのだろうか。
ルノーデザインの精神
明確な変化を感じるルーテシア。会場でプレゼンテーションを行った、ルノー デザイン アジア スタジオ代表のクリストフ・デュポンさんによると、「これまでのルノーデザインのデザインランゲージは、知的だったり、アーキテクチャーだったりして、ちょっとわかり難いものだった。今回はフィロソフィを前面に、感情といった瞬時にわかるものになっています」
数年前までのルノーは、コンセプトがクリアではなく、クルマの表現の表現方法が、車種によってバラバラであったという。それを今回は明確なコンセプトの下に、ルノーデザインの精神を感じられるものに仕上げたのである。
また、デザインコンセプトによる差別化だけで十分ではない考え、ロゴを大きくし、強調させている。そうすることで、より際立ったアイデンティティを確立させようとしているのだ。ルノー製品だというわかりやすさ、それから、各々のモデルの個性が際立ってデザイン的にわかり難くなっても、ロゴによって繋がりができる、というわけだ。
そんな新しいルノーに、デュポンさんも大きな自信をみせる。「これまでのクルマは、“誰も嫌わない”デザインを求めてましたが、今後は“誰もが好きになる”デザインのクルマをつくります」
フロントに大きなロゴを携えたルノーが、これからどんな個性的なクルマを市場に送り出すのか、いまから楽しみである。