
語学はあくまでもツールと位置付けた
CUC国際教養学部の卓越したカリキュラム
――2015年度に新設される「国際教養学部」の特徴をお教えください。
千葉商科大学 国際教養学部 学部長 2015年4月就任予定
東京工業大学講師を経て千葉商科大学教授。政策情報学部長を2期つとめた後、新設する国際教養学部の学部長に就任予定。屋久杉と大島紬の保護に取り組み、奄美パーク園長、田中一村記念美術館館長を兼務。政府税制調査会委員、衆議院選挙区画定審議会委員、医道審議会委員、計量行政審議会委員、など国の政策決定過程に参画。
宮崎 グローバル化する社会に真に対応できる人材の育成が、本学部新設の目的です。これまでグローバルに活躍する人材というと、きれいな発音・正しい文法で流暢に英語を話せる人、あるいはTOEICのスコアが何点以上といったことで捉えられることが多かったように思います。しかし、実際に企業のトップの方々にお話を伺うと、「国際ビジネスの場において、語学ができるに越したことはないが、語学力だけでは通用しない」とはっきりおっしゃいます。社会が要請するグローバル人材とは、つまり異文化の中で自分の軸を持ちながら、相互理解と協調性を持って活躍していける人物だというわけです。語学はあくまでも国際社会の中で広くコミュニケーションしていくためのツールに過ぎません。大切なのは、豊かな教養に裏づけられた感性、総合的な人間力です。したがって語学をカンバセーションではなく、コミュニケーションの手段と位置付けているところが、まず本学の国際教養学部のユニークな点だと思っています。その、本当に使える語学力と情報発信力をツールに、海外経験でグローバルな課題解決能力を磨き、世界に通用する教養人に仕上がるようカリキュラムを組んでいます。これをクォーター制の中で、「見て、聞いて、体験する」ことを通じて「学修」します。
――国内の大学でクォーター制を導入している大学は、まだ少ないですよね。クォーター制のメリットは何ですか。
宮崎 1年を4つの学期に分け、1クォーター=8週間という設定です。この短期間のインテンシブコースで特定のテーマを集中的に学び、しっかり自分のものにしたうえで次のクォーターに進めること、関心に合わせて講義を選択する機会が増えること、学生たちが段階的に成長していることを自他ともに実感できることに、クォーター制の狙いがあります。また、本学部では2年次の秋に8週間、海外留学を全員必修で経験してもらいます。これ以外にも自発的にどんどん交換留学や海外大学のサマースクールなどに参加してほしいと願っていますが、4年間で卒業することを考えると履修の関係上、通常のセメスター制(2学期制)では難しいというのが現実です。その点、クォーター制であれば、帰国後すぐに履修を再開できるため、留学等の計画も立てやすくなります。
ちなみに必修留学の行き先はアメリカ、イギリス、オーストラリア、インド、中国、台湾にある計7大学(2014年11月現在)で、学生自身の希望をもとに選考を行い振り分けます。もちろん、単なる語学研修ではありません。学生一人ひとりが達成すべきミッションをもって留学します。留学先の大学は本学と非常に深い提携関係にあり、本学部の学生をお客様扱いせずに、自校の学生と同じ扱いをしてくれるため濃密な体験ができるはずです。実は、深い信頼に基づく提携関係があるからこそ、間にエージェントをはさむ必要がなく、リーズナブルな留学費用を実現できる側面もあります。
入学式当日に上海へ飛ぶという
驚きのカルチャーショック研修
――海外留学が必修というのは、「見て、聞いて、体験する」という趣旨そのものですね。
宮崎 ええ、本学部では入学式当日から、これを実践していきます。
――というと?
宮崎 入学式が終わったら、すぐ成田空港に直行。そのまま上海に向かい、3泊4日の海外フレッシュマン・キャンプ(海外文化研修)が始まります。ベース(拠点)となるのは、本学と12年以上の提携関係にある上海立信会計学院です。1928年に設立された経済系の名門国立大学で、すでに今年度から本学とダブル・ディグリー・プログラム※をスタートさせています。本学部での学修が始まる第一日目に海外研修を組み込んだのは、カルチャーショックを経験してもらうためにほかなりません。高校までずっと日本で暮らしていた学生であれば、おそらく外から見た日本というものを初めて知ることになります。すると、「案外、自分は日本のことを知らなかったな」ということに気づくわけです。そこから、自分がグローバル人材となるためには、この4年間で何を学ぶべきかという気持ちが湧きあがってくるはずです。そういうモチベーションの高まりがあれば、履修科目の選択の仕方も漫然と「必修科目だから取る」ということではなく、もっと意欲的な姿勢に変わるのではないかと期待しています。
※所定の卒業要件を満たすことで、千葉商科大学の学位と上海立信会計学院の「双学位(留学生に与えられる学位)」が授与される。
学生の理解・習熟度を高めるために
講義の基本はアクティブラーニング
――留学必修のほか、千葉商科大学あるいは国際教養学部ならではの仕掛け、工夫はありますか。
宮崎 先ほど少し申し上げましたが、まず教養力、情報力、社会人基礎力という3つの力を段階的に学べるカリキュラムを用意していることがあげられます。入門から専門へ、日本からアジア周辺地域へ、そして世界へと学びをステップアップさせていきます。例えば、海外フレッシュマン・キャンプでは「日本とは何か」「自分は何者か」ということを考えるきっかけになるでしょう。第1クォーターを終えた夏には、奄美研修が待っています。琉球と薩摩の狭間で独自の文化を築いてきた島での研修ですから、さらに日本という国と日本人であることを見つめ直す契機になるはずです。また、外国の人たちに接したときには、日本のことや自分自身のことを尋ねられると思います。
逆に、相手の立場を尊重し慮るには、異文化に対する理解が不可欠です。さらにビジネスの場においては政治、経済、法律など幅広い知識をある程度素養として備えていることが前提となってきますし、自分で情報を集め分析し、発信していくことも求められます。このように自分とは異なる言語、価値観を有する人たちとのコミュニケーションを円滑にしたり、ビジネス上のミッションを遂行したりするための教養と専門知識の土台を築き、自らの言葉で伝えていく力を身につけるというのが、本学部の考える「世界に通用する力」なのです。講義は基本的にアクティブラーニング、つまり学んだことをより深く定着させるために、教員による一方向の講義形式ではなく、学生たちの能動的な参加を取り入れたスタイルで行っていきます。語学の授業一つとってもEnglish Communicationや、Presentation in Englishのような実践的な講義を設定しています。こうしたカリキュラムを受けることで、2年次の秋には留学先で現地の大学生と対等に渡り合えるようになると思っています。

アドバイザリーボードの企業が
参加・支援する演習で実践力を強化
宮崎 もう一つ、千葉商科大学ならではの伝統的ともいえる取り組みで、「企業との連携」という特徴があります。本学には約600の提携企業(2014年11月現在)があり、そのうち多くの企業からインターンシップの機会を提供していただいています。こうした企業との協力関係は他大学でもよくあることですが、私たちはこれをさらに一歩進め、国際教養学部のカリキュラムに企業を練り込んでしまおうと考えました。例えば、グローバルに事業展開をしている企業を中心に「アドバイザリーボード」を立ち上げ、その企業の皆様から課題を提示していただきます。学生はそれまでに学んだことを総動員して少数のグループで課題解決方法を研究し、最後に企業に対して解決策をプレゼンし、問題解決に有効な方法であれば実際にそのアイデアを採用していただくというコンペを実施するという具合です。

仮に、「わが社の飲料製品を1日で100本、上海の街頭で売ってきてください」というテーマが与えられたとします。でも、実際に上海の街頭で物販を行っていいのかどうか、法や商取引の習慣を知らなければ実行に移せません。販売するスタッフの手配や1本当たりの価格設定、物流などはどうするのか。国際教養の入門~専門科目で学んだ知識と情報リテラシーを総動員し、細部まで考え調べ上げなければ解決策は見つからないし、国際ビジネスの世界はかくも複雑な要素の上に成り立っているのだということに気づく。そんなアクティブラーニングに基づいたカリキュラムを提供し、問題解決能力を支える社会人基礎力などが鍛え上げられればと思っています。
新しい時代の学びに対応した
魅力的、先鋭的な教員陣
――全カリキュラムが、旧来の座学とは一線を画した講義になるので、教員側のスキルも問われますね。
宮崎 教員に関しては、自信があります。まず、本学国際センター長の高橋百合子教授が国際教養学部教授に就任し、ネイティブの教員団を率います。高橋教授は、正統な、しかも使える・伝わる英語を教えるプロフェッショナルです。また、文明の交差点といわれるトルコ出身のムズラックル・ハリト氏を招へいし、まさにグローバルな視野から「言語文化論」や「日本の伝統芸術」の講義を展開してもらいます。さらに独立行政法人 情報処理推進機構から「天才プログラマー/スーパークリエータ」という認定を受けた久保裕也准教授には情報リテラシーの教育を担ってもらうほか、履修した科目の理解・習熟度と今後学ぶべき学問領域を「見える化」した「ナレッジマップ」を制作してもらっている最中です。ほかにも国際標準ISO24100の策定に関わった渡辺恭人教授、また、鋭い評論活動で知られる常見陽平氏を迎えるなど、錚々たる教員がそろっています。
――国際教養学部への入学が決まった人たちに対して、来春までにやっておいてほしいことはありますか。
宮崎 まず、高校までに修得すべき基礎学力と社会常識をしっかり身につけてきてほしいということですね。それから、最近はスマートフォンに慣れてしまったせいか、物理キーボードを使う習慣のない学生が多くなっているようです。しかし、授業に必要な情報を集めたり、論文を書いたりするには、やはりパソコンの方が有利なツールになります。ですので、その作業を迅速に行えるように、キーボードのタッチタイピングができるように練習してきてもらいたいです。総合的な人間力と、学びたいというモチベーションを高めてきてくれれば、その先のことは本学部がうけ合います。
国際教養学部が育てるのは「世界で働く、世界と働く、世界をもてなす」人。ぜひ本学部で地球をわしづかみにするくらいの気概と行動力、発想力を身につけて、これからの時代を生き抜いていってほしいと思います。