グローバル時代の今こそ
大学と企業の連携を

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― 企業での理工系人材の現状はいかがでしょうか。

天羽 企業にとって理工系の人材は、高専卒、大学卒、大学院卒とさまざまな人材をうまくミックスしているほうが、組織力としては非常に強くなります。そのためにも企業は採用時だけでなく、さまざまな人材をどう育成するのかをもっと考えるべきでしょう。企業に入って、もう一度大学で勉強してまた企業に戻ってもいい。専門領域を深める人もいるでしょうし、MBAを取るなどしてマネジメントの道へ進む道もあるでしょう。理工系人材には、実にいろいろな可能性が開かれているのではないでしょうか。

― グローバル時代に必要な理工系人材の条件とは何でしょうか。

天羽 グローバルビジネスは複雑さを増し、日々激しい競争や変化が起きています。問題を解決するにも正解が必ずしも一つではない時代に入っています。複雑な問題を解決するためには複数のアイデアを用意しなければならない。その時に大事なことは、これまでにありえないようなアイデアも用意しなければならないということです。そうした想定外のアイデアを出せるかどうかは、自分がどれだけいろんな経験を積んできたかにかかっています。標準的なアイデアだけで生き残れない現代では、つねに標準以上で、しかも想定外のアイデアを考えることができる人材が必要です。

原動力は「劣等感」
足りないから、学ぶ

― 天羽さんは海外留学されていますが、その経験はどう生きていますか。

天羽 当時は、それこそ血を吐くくらい必死で勉強しました。お金もなく、1日10時間くらい勉強しないと大学を追い出されてしまう。そうした猛勉強の日々を過ごしているうちに、自分は何をやりたいのか、何が足りないのかが見えてきました。そして自分が留学中に身に付け、最も役に立ったのは「耐える力」でした。社会人になって幾多の困難を乗り切ることができたのも、この「耐える力」があったからです。

― 学生はどんな姿勢で勉強に取り組むべきでしょうか。

天羽 学ぶ時に大事なことは、まず疑問を持つことです。なぜこんな仕組みになっているのか。非常に単純なことでも、まず疑問を持って質問するクセをつけてほしい。質問するクセをつけると、自分はいかに知識がないのかわかってきます。疑問を持てば、問題を発見でき、自然と自分で考えることができるようになるのです。

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