グローバル経営支援セミナー
ミャンマー編 市場として、製造拠点として、今後の成長が楽しみな国

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【講演2】
「ここまで変わった
~ミャンマーにおける外資規制の最新状況~」

森・濱田松本法律事務所 弁護士
パートナー・ヤンゴンオフィス代表
武川 丈士 氏

ミャンマー投資の障害には、貿易業や小売業などで会社法上の営業許可を出さないという明文化されていないルールと、土地の所有・長期賃貸の禁止がある。外国投資法の許可を得れば、土地の長期賃貸が可能になるため、インセンティブ付与条件を規定するはずの同法が、外資規制をクリアする手段を提供する制度となっている。森・濱田松本法律事務所ヤンゴンオフィス代表の武川丈士氏は「制約が少ないのはサービス業。製造業は外国投資法の許可が得れば進出可能だが、インフラの制約がある。そのほかの業種は、大なり小なり規制される」と概観する。

今年8月には、日本・ミャンマー間の投資協定が発効。内国民待遇により外資規制は原則禁止になる。例外規定はあるものの「他の東南アジア諸国との協定に比べても数が少なく、画期的内容」という。また、同月に外国投資法適用条件の告示変更も公表され、改正経済特区法細則も近く公表される見込みだ。武川氏は「変化が速いので、最新状況を理解してプランニングすることが、進出の可否、ビジネスモデルに直結する」と語った。

【講演3】
「ミャンマーの税制概要と
経済特区法による優遇措置」

KPMG Advisory (Myanmar) Ltd.
Managing Director
藤井 康秀 氏

KPMGの藤井康秀氏は「ミャンマーは、まだ制度を整備している段階」と指摘する。ただ、経済特区で会社設立・投資の認可、外国人の労働許可など、他省庁に分散した手続きを一括で行うワンストップサービスセンターが設けられ、投資計画承認までの期間を30日以内とするなど、外資誘致に向けた政府の積極的な姿勢は一貫している。

ミャンマー税制は、法人税、個人所得税、商業税(消費税)がある。特区では、輸出型製造業を中心にしたフリーゾーン(非関税)だけでなく、物品保管出荷業務や保険などの事業ができるプロモーションゾーンも設定され、域内の法人税は操業開始から5~7年間免税、その後5年間半減の特典がある。しかし、まだ日本との租税条約がないため、キャピタルゲインに対する課税が、租税条約を結ぶシンガポールからの投資より高税率になり、個人所得税での二重課税発生などの課題もある。企業会計の考えが十分に浸透していないため「会計実務では、現地スタッフを一からトレーニングする必要がある」と指摘した。

【講演4】
「ティラワ経済特別区Class A
開発プロジェクト概要」

住友商事株式会社 海外工業団地部参事
Myanmar Japan Thilawa Development ltd. President & CEO
梁井 崇史 氏

ヤンゴン市内から車で約1時間に位置するティラワの経済特別区は、第Ⅰ期工事が来年5~6月ごろに完了予定となっている。すでに15社(8月末現在)が予約契約を済ませ、順調だ。同区開発を担当するミャンマー・ジャパン・ティラワ・デベロップメント社長の梁井崇史氏は「インフラ、法制度は未整備だが、政府の『この国を良くしたい』という思いを感じる」とミャンマーの魅力を語る。

課題のインフラ整備は、相次いで訪問した大統領、副大統領からのトップダウン指示、日本政府の円借款で進む。進出企業は、安い人件費を求める輸出企業と、内需向け企業が半数ずつ。国内市場は、中印に比べれば大きくないが、プレーヤーがいなので、今、進出すればマーケットリーダーの地位を獲得できるという。今後も、予想される紆余曲折に対処するため、同社は両国政府系機関からの出資を得て、問題があれば政府同士でも対話できる環境を用意している。梁井氏は「日本企業と他国企業の割合も約半々。他国から見てもティラワは有力な選択肢になっている」と自負をのぞかせた。