【協賛】Shearwater Japan、ジェクシード

第一部【基調講演】
「挑戦し続けるDeNAのグローバル業務基盤構築」
経営企画本部IT戦略部部長
村上 淳氏
モバイルゲーム、eコマース、野球やランニングクラブなどのプロスポーツ事業で知られるDeNA。同社IT戦略部部長の村上淳氏は「新しいことに挑戦してナンバー1を目指すというDNAがある」と企業風土を語る。最近は、マンガや教育アプリ、仮想ライブ空間、ヘルスケア(遺伝子検査)へも事業の幅を広げ、グローバル展開も加速させている。
同社の守安功社長が掲げる「永久ベンチャー」の考えは、事業環境の変化が激しいインターネットサービス業界にあって、何よりスピード、コストを重視する。この目標は、バックオフィスの業務基盤システム導入においても共通であり、同社の条件をクリアできるという点で、NetSuite(以下、社名ネットスイート、サービス名称NetSuite)が事業基盤として選択された。
まず、スピードのために村上氏は「通勤などの隙間時間を有効活用するため、いつでも、どこでも、どんな端末でも使える」システムにこだわった。また、ゲーム開発などのプロジェクトはパートナーと共同で進めることも多く、外部との円滑な情報共有は必須の課題だという。また、これまではマーケット費用も含めたプロジェクト単位でのキャッシュフロー算出が難しかった。その点も踏まえ、プロジェクトライフサイクルでのキャッシュフローが把握できる仕組み作りに重点を置いた。利便性とセキュリティはトレードオフの傾向があるとし、利便性は向上しつつ、セキュリティレベルを下げないよう、セキュリティの基本であるグローバルでのアカウント管理徹底が必須という。そのため、人事分野からグローバル業務基盤の構築を進めていった。コスト面では、グローバルで共通に使えるシステムを導入することで、業務の標準化、効率化を進めた。村上氏は「各国のグループ会社を取り巻く法制、商習慣、規模や事業形態の違いを踏まえ、どこまで合わせられるか、見極めが重要」と話す。
また、同社のヘルスケア事業を立ち上げた際には、社内でも経営陣のみが知る極秘扱いとされていたため、新会社のバックオフィスシステムの準備期間はわずか2週間だった。「普通であれば難しいと思われる期間で、新会社用のバックオフィス基盤の立ち上げをあっという間に行うことができた」と村上氏は振り返る。
クラウドベースのERPの中でも「NetSuiteは最も採用されている。そこには資金も集まり、機能改善も速いはず」という判断も後押しした。もう一つ、重要なのは、サービス提供会社と顧客の関係を超えた、パートナー同士の関係だ。互いにグローバル企業として成長過程にあることから、村上氏は「一緒に世界で成長していこう。こうしたら、もっと良くなるという視点で話をしている」と述べた。
【事例講演】
「元IFRS担当官が挑む、シリコンバレー式、迅速なグローバル展開」
齋藤 和紀氏
情報をクラウドに簡単に同期できるバックエンドテクノロジーは、これからのスマート社会構築に欠かせないIoT(Internet of Things、モノのインターネット)を支える技術の一つとして注目されている。Kiiは、この技術分野で注目を集める、気鋭のスタートアップ企業だ。
そこに昨年9月に入社した齋藤和紀氏の使命は、将来的に上場やM&Aなどの出口を探ることになるベンチャーキャピタルや、経営陣の意向を踏まえて、連結決算の作業期間短縮、内部統制の強化、経営指標の見える化を進めることにあった。
外資メーカーにて日本グループの経理部長、政府のIFRS担当官を経てきた齋藤氏は、まず1カ月かけて、さまざまなERPを検討した。同社は、日本、米国シリコンバレー、中国などにグローバルに拠点を持つことから、マルチ言語・通貨対応は外せない。また、スタートアップ企業として「キャッシュは本業への投資に回し、システムは固定費にしないクラウドサービスが適している」という判断もあった。その中で、過去最速レベルの短期導入を目指すというこだわりに理解を示したのがネットスイートだった。
Kii創業者の荒井真成、鈴木尚志の両氏は、欧米系著名IT企業で要職を務めたことで知られる。そのためか、同社も、習うより慣れろ(Fail fast)、機能を絞る代わりに短期導入(Lean startup)、遅延は機会損失という意識を持ち、完璧を目指しすぎない(Done is better than perfect)といったグローバルITの影響が色濃くある。社内の議論でも「シリコンバレーの中規模ベンチャーで最もスタンダードな業務基盤として実績がある」というネットスイートへの支持は強かった。
齋藤氏は「ネットスイートのプロセスに合わせたことで、監査法人からも高く評価される内部統制フローを確立できました。事業の急速な拡張に対応しながら運用できており、立ち上げのスピードに重点を置いて良かったと思います」と語った。
第二部【基調講演】
「情報に本気で投資する時代
~経営者が今考えるべき投資のポイント~」
羽入 敏祐氏
IT環境は、この10年で劇的に変化した。店舗に行く手間を省ける便利さから、消費者の間には、インターネットショッピングが広く浸透した。一方で、消費者への対応のまずさ、一度のミスがネット上に拡散するリスクを踏まえ、ECにかかわる企業のカスタマーサポートはユーザーの声に迅速に対応し、マネジメントも、商品・サービスの改善を早めることが求められている。事業会社のCFO経験もある日之出監査法人の羽入敏祐氏は「このスピード感は、ほかのビジネスにも波及していくだろう」と予想する。
しかし、一般企業の場合、スピーディに判断することは難しい。「その原因は、フロントオフィスとバックオフィスの情報がつながっていないことにある」と、羽入氏は指摘する。管理部門は、重要な情報を貯め込み、他部門から隔離する形で管理しているのだ。さらに、管理は価値を生まないという固定観念が根強く、営業などのフロント部門に比べて、バックの管理部門へのシステム投資が滞るので、情報管理のあり方は改善の機会がない。その結果、管理部門の業務は、同じ社員が長年続ける属人化、ブラックボックス化が進み、業務コストも削減できない状況に陥る。羽入氏は「投資をしないことは、思考の老化、プロセスの劣化という重要なリスクをはらんでいる」と警鐘を鳴らす。
「情報環境はできるだけ早期に整えるべきだ」と羽入氏は訴える。今では、NetSuiteなどクラウドサービスの登場により、従来は、投資コストが重かった業務基盤システムも導入しやすくなった。システム導入は業務フローも見直す好機になり、社内でバラバラだった情報をつなげることで、経営判断はスピードアップする。羽入氏は「これからの管理担当者は、経営判断に資する情報を迅速に提供するための業務プロセスの未来図を描き、そこに向かって投資することが大切な役割になる」と語った。
【テーマセッション】
「グローバル戦略成功の鍵を握るピュアクラウドとは」
カントリーマネージャー代理兼マーケティング本部長
内野 彰氏
今、さまざまな産業がインターネットの影響を受け、新たなチャレンジを行ってきた。特に、ここ数年は、優れたユーザーエクスペリエンスで、モノを売る市場が確立され、ビジネスのあり方を変えている。こうした時代には、将来のために経営基盤を築くことが、企業を成功に導く鍵になる。内野彰氏は、ネットスイートのクラウドERPを「継続的な経営サポート、事業のモニタリングを通じて、長期的な視点に立った企業の競争力を強化するための経営支援をパッケージ化した新しい時代のサービス」と定義した。
ネットスイートは1998年、オラクル会長のラリー・エリソン氏と、当時オラクル社にいた、現ネットスイート会長兼CTOのエバン・ゴールドバーグ氏が設立。財務会計システムをクラウドサービスで提供する事業は、売上400億円以上に急成長した。国内でも150社以上が利用。ネットスイートを通じて、会計、顧客、取引などに関する社内のデータを集約することで、財務を把握し、経営資源の有効活用につながる。内野氏は「お客様からは、データを入力すると、NetSuiteから、経営に関する気づきが自然に得られると、評価をいただいています」と話す。
こうした重要なデータを扱うNetSuiteには、高い信頼性が求められる。同社は、世界屈指の50億件以上という大量のウェブリクエストを処理する一方、99.5%の高稼働率を保証。直近では99.97%の稼働率を誇っている。セキュリティなどにも万全を期し、米フォーブスの「2013年 最も信頼できる企業100社」にも選出された。内野氏は「今後も、顧客、パートナーの事業継続、成長のお手伝いをしていきたい」と述べた。
続いて、シニアインストラクターの海老原氏が、製品デモを行い、データ視認性の良さや、豊富なレポートの種類などを説明。「NetSuiteは、入力されたデータを、どうまとめ、見せるか、に工夫をこらしています」とアピールした。
【ソリューションセッション】
「クラウドの活用で海外はもっと近くなる」
平沢 敏彦氏
Shearwater Japanは中国、香港、シンガポール、インド、タイにグループ会社を持ち、クラウド型システム導入を通じて、日本企業のアジア圏進出を支援するコンサルティングサービスを提供している。平沢敏彦氏は「国際展開での導入に豊富な経験があります」と自負を語る。実際に、現地調達したシステムと表計算ソフトの併用などシステムで業務が煩雑になり、情報停滞を起こす企業は多い。「システム統合にネットスイートは有力なツールでしょう」と話す。
陳 勝喜氏
この後、陳勝喜氏が、中国進出を考える企業の関心が高い、現地の複雑な税制を解説。会計年度は1月1日から12月末で一律、勘定科目は国で決められていて、毎月の売上など詳細な申告をする必要があると特徴を指摘した。また、中国の領収書は税務当局発行の用紙を使わなければならないことが手間になっているが、陳氏は「当社はNetSuiteから当局に接続して用紙を発行する仕組みを開発している」と述べた。
【ソリューションセッション】
「クラウドERPを活用した
グローバル共通システム基盤のスピード導入と
バックオフィス業務のクラウド化に向けて」
浜田 篤人氏
JASDAQ上場の独立系コンサルティングファームで、1997年から17年以上にわたりオンプレミスのERP導入サービスを提供してきたジェクシードが、ネットスイートの新たなパートナーに加わった。執行役員の浜田篤人氏は、NetSuiteを「月々の利用料で容易に始められ、デバイス、時間、場所にもとらわれない。クラウドだが、カスタマイズしやすい」と評価する。
システム、業務ルールがバラバラになった会社は、NetSuiteのようなシステムを単一でグローバルに使えば、生産性が上がる。また、これまで培ったノウハウを、ベストプラクティスとして集約した同社のテンプレートには定評があり、それをベースに、迅速な導入ができる。浜田氏は「業務のアウトソーシングも引き受け、システムと業務の"クラウド化"を推進したい。お客様をバックオフィス業務から開放し、稼ぐ仕事に集中してもらうサービスを提供します」と述べた。