キャリアアドバイザーが語る「本当に良い転職」とは何か 迷っているなら、「とりあえず」動いてみる

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緩やかな景気回復が続くとともに雇用の現場からは人手不足の声も聞かれ、転職市場に追い風が吹き始めている。だが、明確な目的意識もなくただ風に身を任せるだけでは、転職によるキャリアアップは難しい。果たして今は転職のタイミングなのか、転職すべきかどうか見極めるポイントは何か、転職者に成功のパターンはあるのか。「typeの人材紹介」で知られるキャリアデザインセンターで、8,000人を超える転職希望者と会ってきたというエキスパートキャリアアドバイザー、伊藤泰子氏に話を聞いた。

転職市場は昨年から回復基調に
ポテンシャル重視の求人も増加

――最近はいろいろな業界で人手不足が深刻になっていると言います。転職市場の現状について、どのように見ていらっしゃいますか。

昨年あたりから全体的に回復基調にあります。その中でも特にIT業界のニーズが高くなっています。東京労働局の「一般職業紹介状況」によると、7月の有効求人倍率は東京で1.6倍でしたが、IT技術者においては約3.6倍でした。

※注 有効求人倍率とは:1人あたりの求職者に対して、どれだけの求人数があるのかを示す指標。2013年9月は0.95倍。

最近の傾向としては、第2新卒の採用枠が増えてきていることもあげられます。厳しい状況のときには企業は即戦力を求めますが、今は企業も採用計画をクリアするために、人物重視とか、ポテンシャルを見る傾向が強くなっていますね。未経験も可という募集も増えており、人を育てる意志があり、スピード感をもって人材を採用し、事業を成長させていくという、柔軟で力強い企業が増えているといえます。

――転職市場の回復に反応して、転職しようという人も増えているのでしょうか。

確かに転職を考える方は増えています。ただ、転職に向けて動いたほうが良いのかどうか、迷っている方も少なくありません。景気が回復してきたことで、今勤めている会社の状況も良くなり、昇格や年収アップのチャンスが広がってきているからです。「良い企業があれば転職しよう」というスタンスで、情報を求めて私たちのところを訪ねてくる方もいらっしゃいます。

――そういう方に対しては、どのようなアドバイスをされるのですか。

「迷っているなら、とりあえず動いてみてはいかがですか?」とお話ししています。活動することで新たに見えてくることもありますし、書類選考の結果などの客観的な情報を得ることも出来ますから。残念ながら選考に落ちてしまった場合でも、なぜ落ちたのか、自分には何が足りなかったのか、客観的に自分を見つめるチャンスになります。そして、そこから何を身につけることが自分の市場価値を高めることにつながるのか気付きを得るなど、今後の働き方やスキルアップの方向性に広がりが出てくることもあります。
 今は、インターネットを使えば様々な情報が手に入ります。皆さんがそれぞれいろいろな情報を持っていますが、それが本当に正しい情報なのか確信が持てない人や得た情報を整理できていない人も多い。他人から得た情報に振り回されてしまうぐらいなら、実際に行動し、自分の目でみて、感じたことやその結果から今後の方向性を考えるのも一つです。面接までいって内定が出たら、今勤めている会社と内定をもらった会社を比較して、転職するかどうか最終的に判断してもいいんです。結果的に転職しなくても、現在の自分自身の市場価値やキャリアの可能性を知ることは貴重な経験になります。企業側の採用活動が活発化しているということは、転職希望者側の選択の幅が広がっているということでもあるので、そのチャンスを活かしてみてはどうですかとご提案すると、多くの方が納得して、行動を始めています。

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