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M&Aは線でとらえ完璧主義を捨てよ

  • 制作:ビジネスメディアパートナーズ
いまや大企業に限らず、中堅・中小企業もM&Aに積極的だ。ほんの数年で変化するトレンドを見据えつつ、戦略実現のカギを握る情報をどう収集・分析して行動に移すべきか。日本企業向けファイナンシャル・アドバイザリーで国内トップクラスの実績を誇るフロンティア・マネジメントに話を聞いた。

中堅・中小企業も意欲
中規模の案件が増加中

フロンティア・マネジメント 常務執行役員 ファイナンシャル・アドバイザリー第2部長の光澤利幸氏は、最近のM&Aの傾向について次のように語る。

常務執行役員
ファイナンシャル・
アドバイザリー第2部長
光澤 利幸

「取引金額が500億円以上になるような大型案件が注目されがちですが、実際には約50億円から200億円程度の案件が8割以上を占めています。日本の中堅・中小企業も積極的にM&Aを行うようになっています。M&Aを初めて行う例も珍しくありません」。

その理由はいくつかある。将来的には国内市場が成熟化・縮小化することが予測されることから、持続的な成長を目指して、アジアなど海外に打って出ようとする企業が増えていることがその一つだ。加えて、企業の収益力が改善され、経営者に自信が戻ってきたことも挙げられる。

同社コンサルティング第2部 マネージング・ディレクターの小林創氏は「10年ほど前と比べると、企業のM&Aに対する考え方が変化しています。かつてはどちらかと言えば、単に市場シェアの拡大を狙うM&Aが主流でした。製薬業界の例はその最たるものです。ただし最近では、新たな能力を手に入れて成長するための手段として認識することが当たり前になってきています」と説明する。

コンサルティング第2部
マネージング・ディレクター
小林 創

特に日本は、中堅・中小企業もM&Aについて研究し、一定の知識を持つところが少なくないという。PMI(買収後統合)の重要性の認知も高い。

M&Aの目的は重要だが
完璧主義も乗り遅れに

企業のM&Aに対する理解は進化していると言えそうだ。ただし、失敗例がなくなったわけではない。成否を分けるのはどのようなポイントなのだろうか。

光澤氏は「自社の戦略を実現するために、何が必要なのか、そのためにどんな企業が対象になるのかといったことを慎重に検討すべきです。それ無しに『どこかいい会社があれば……』というのでは、なかなか契約に至りません。また、仮に契約できたとしてもM&Aの効果は発揮できないでしょう」と説明する。

小林氏はそれに加えて「M&Aを研究する企業が増えている一方で、完璧主義でチャンスを逸するケースも見られます」と指摘する。
たとえば、海外の非常に優れた技術を持つ企業や強い販路を持つ企業であっても、少しでも自分の会社の製品領域と重なったり、客先や取引先との利益相反があったりすると、対象から外してしまう企業もあるようだ。ほかにも、デューデリジェンスなどの際にことさら細かい情報を要求する企業もある。

「案件の選択肢を狭めるうえ、スピードが大きく遅れることになります。意思決定が速く資金力のある中国企業などに案件を奪われてしまうことにもなりかねません」(小林氏)。

FAと戦略コンサルティング
二つの視点が成功へのカギ

前述したような失敗に陥らないためにはどのような取り組みが求められるのか。

光澤氏は、「ディールありき、では失敗になりがちです。何のためにM&Aを行うのかという点から議論すべきです」と言う。

ただし、それを実現するには、ファイナンシャル・アドバイザリー(以下、FA)はもとより、戦略コンサルティングの機能も必要になる。

「さらに、調査や条件交渉などでは、弁護士や公認会計士の力を借りることになります。中堅・中小企業が、多数の外部専門家と個別に契約することは負担が大きくなりますが、当社は弁護士や公認会計士を含む各領域の専門家を自社で保有しているため、これらに、文字どおりワンストップで応えることができます」(光澤氏)。

同社の大きな特色として、FAチームとコンサルティングチームが一体となって、顧客に最適なアドバイスを行う点が挙げられる。単にM&A案件の情報を提供するだけではなく、M&A戦略の議論から、ロングリストの作成、アクションプランの策定といった戦略コンサルティングの領域まで、「点」としてのディールではなくその前後を一貫して「線」あるいはさらに「面」でサービスを提供するのだ。

一般的な経営コンサルティングの場合、シナリオは描くものの実際の交渉は顧客自身で行うようになっていることも多い。このため、いわゆる“交渉疲れ"で不利な条件で妥協してしまう企業もある。

「当社は、交渉についてもきめ細かくサポートします。当社が携わることで、数十億円も価格が変わった例もあります」(光澤氏)というから頼もしい。

事前にウォッチリストを
作成しておくことも有効

小林氏は「日本企業の場合、案件が出てから動き出すと時間がかかりがちです。事前に社内を説得するために、調査や分析を進めてロングリストを作成し、対象となる候補企業のウォッチリストをつくってモニタリングし続けるとよいでしょう」とアドバイスする。

同社はその作成や運用も支援してくれるが、さらに海外30社、国内20社のパートナーとのネットワークを通じて、最新の案件情報を提供してくれる。カバー範囲は、北米や欧州、アジアはもとより、インド、南アフリカ、イスラエル、中東などにも及ぶというから念が入っている。

光澤氏は「お客様から、こんな案件は初めて紹介された、と言われることもよくあります。それぞれに異なる強みを持ったパートナーと複数提携しているため、目的がきちんと定まれば、それに合わせた最適な案件を見つける体制はあります。また、海外企業の買収だけでなく、既存事業の売却などにも豊富な経験がありますし、買収した企業の経営ができる人材の育成などもお手伝いできます」と話す。