グローバル企業が重視するエクイティという概念 ヤンセンファーマの若き日本人新社長が語る視点

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「私は日本の高校を卒業後、米国の大学に進み、長い間海外で働いてきました。そこで感じたのは、学習であろうとビジネスであろうと、グローバルでは公正性(エクイティ)が当たり前にあることです」

J&Jでは、「ダイバーシティ&インクルージョン」だけでなく、そこにさらに、「エクイティ」の考え方をより明確にした「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)」を推進している。

「強い組織とは、何でもできる多才な個人の集まりではなく、異なる強みを持った多様な個人の集まりです。個々人の強みを活かすには、インクルージョンが必須であり、エクイティは、このような強い組織という『結果』を重視した際に重要になる考え方です。つまり、誰もが成功する機会を得られるように体系的に障壁を取り除いていくことが、私たちのエクイティに対する考え方です。成功を阻む障壁はジェンダーギャップ(男女格差)だけではありません。病気も、その1つです。私たちの『ワークシックバランス』という活動は、そのような考えを体現しています」

ワークシックバランス(work sick balance)とは、病気があっても自分らしい働き方が選択できることを目指す考え方だという。国の難病に指定されている炎症性腸疾患(IBD)の患者さんが病気を抱えながらも「自分らしく働く」ことを後押ししようと、ヤンセンファーマが20年に提唱し始めた。

「厚生労働省の調査では、働く人の3人に1人(32%)が何らかの疾患を抱えながら働いていることが明らかになっています。IBDをはじめ、病気を抱えている患者さんの仕事と病の両立ができる環境づくりに向けて、さまざまな方々とともに考えるきっかけになればと考えています」

日本法人でもDE&Iを推進し、日本のニーズに応える

關口氏は1974年生まれの46歳。製薬業界では、経営トップに業界経験の豊富な人材が多い傾向がある。その中においては、關口氏は「若手」の部類に入るだろう。

「若いからいいというわけではありませんが、年齢にかかわらず、現場の社員に近い立場でありたいと考えています。まずは一人ひとりの声をしっかりと『聴く』ことから始めたいと思います」

DE&Iの取り組みについてもさらに推進していく考えだ。「ただし」と關口氏は加える。「ヤンセンファーマは日本に拠点を置く会社であり、働いている人も日本の文化や価値観に親しんでいる人が大半です。型にはまった『米国ではこうだから、グローバルではこうだから』と押し付けるような方法ではなく、現場としっかり話し合いながら、お互いを尊重し、チームとしてともに成長できる環境づくりを一歩一歩進めていきたいと考えています」

製薬業界の置かれている環境は著しく変化しており、企業も社会のニーズに応えていくことが求められている。「日本の患者さん、医療機関などのニーズに応えるために引き続き挑戦を続けます」と關口氏は語る。同社のDE&Iから生まれる革新的なソリューションに大いに期待したいところだ。

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