環境保全への取り組みに
終わりはない
電気料金のコスト削減をはじめ環境保全への取り組みとして、多くの企業が太陽光発電システムを導入している。最近では、この太陽光発電システムが、BCP対策の新たな一翼を担う存在となっていることをご存知だろうか。
災害発生時でも、手間なく社屋への給電が可能
愛知県みよし市で、主に自動車産業における自動搬送システムの製作事業を進めるシンテックホズミは、2014年4月、京セラと京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が共同開発した「ソーラーサイクルステーション for EV」を導入。太陽光発電システムを活用し、プラグイン・ハイブリッドカー(PHV)に充電した電力を非常用電力として利用する仕組みを構築した。
シンテックホズミは、親会社であるトヨタ自動車の地球環境憲章を踏まえ、早い時期から環境保全活動を進めており、03年にはISO14001を取得。CO2排出削減など、毎年目標を設定し活動を進めていた。06年11月には、もともと豊田市にあった七つの事業所を集約し現在の社屋を設立。移転後も敷地内の緑地化に取り組むなど環境保全活動を続けていたものの、一方で事業の拡大に伴い電気や空調コストなどの消費が大きくなったことが課題となっていた。「環境保全の取り組みに、終わりはありません。状況や時代に合わせて、つねに先のストーリーを描きながら次の手を考え続けなくてはいけないと思っています」とシンテックホズミ参与の森山光夫氏は語る。
そこでシンテックホズミは、太陽光発電システムの導入を決定する。14年3月に出力200kWを工場側に、30kWをオフィス側の屋根に京セラ製太陽電池モジュールを設置。これはシンテックホズミの電力消費比率データを基にKCCSが算出し、環境的にもコスト的にも最適なバランスを考慮しながら施工された。この効率的な配置により、自社で生産工場を稼働しながらも、全体で消費する電力の35%を太陽光発電でまかなうことが実現している。森山氏は続ける。「また、環境保全や電力コスト削減のためだけでなく、太陽光発電の新たな活用方法を探していました」。
求めていたのは、
BCP対策までできる太陽光発電システム
「これまで、PHVが持つ大容量バッテリーをBCP対策として活用しようと車両の導入を進め、有事の際には延長コードを伸ばして使用するつもりでしたが、安全性や利便性に不安がありました。このあたりの悩みを持ちかけました」(森山氏)。
そこでKCCSが提案したのは、先ほど述べた「ソーラーサイクルステーション for EV」を活用しPHVに充電した電力を、非常用電源として安全に社内のBCP対策室などへ供給できる新たなシステムであった。
「BCP対策として、プラン策定や組織の役割分担などを進めていたのは3年前からになります。しかし、ライフラインとして水・食料の備蓄はしているものの、電気は万全ではなかった。発電機や蓄電池を用意しPHVも三台導入してきましたが、それらを安全に活用し、社員がより安心して働ける体制を目指すべきだと考えていたタイミングだったのです」(森山氏)。
今回の導入により、災害時に商用電力が停電した場合であっても、自立運転での電力使用が可能に。さらにPHVはエンジンでも発電できるため、太陽光発電などによる充電が困難な場合でも電力の確保もできる。万が一のことが起きても、働く人間が安心できる環境が整えられたといえるだろう。
太陽光発電システムと「ソーラーサイクルステーション for EV」による電力供給のイメージ図
また、シンテックホズミでは環境保全のため社内照明のLED化も実施。この取り組みも、今回の太陽光発電システム導入と上手く融合しているようだ。
森山氏に続き、シンテックホズミ人事部総務課の野村亘氏も振り返る。「太陽電池モジュールの設計・施工は、多くの企業が進めています。ただ、われわれのニーズを聞きながら、それを実現するために最適な提案をしてくれたのがKCCSでした。品質への信頼はありましたが、特に電力を扱うことから生じる関係各所との複雑な書類のやりとりなど、最初から最後までしっかりとサポートしてくれました」。また、太陽電池モジュール設置の効果は、使用電力削減やBCP対策の磐石化だけではない。パネル自体の遮光効果により空調効率が高まるためCO2排出量やコスト削減につながる。「これから夏季に向けて効果が期待できる」と野村氏は話す。
確かな経験を生かし、
これからも新たなサービスを
自然エネルギーの活用から環境と共生する社会づくりを目指す「環境・エネルギーエンジニアリング」を推進しているKCCS。今回のシンテックホズミへの提案が実現できた理由を、東海エンジニアリング事業部環境エンジニアリング課の萩原正明氏は語る。「やはり全量固定価格買取制度以前からの経験があった、ということが大きいです。さまざまなニーズにすぐ対応できる体制を整えています」。萩原氏が語る経験の深さや広さが、お客様ニーズへの即応を可能にしたのであろう。
「お客様の声にベストの答えを出しながら、+αも提案する。なかなか難しいですが、やりがいを感じますね。将来的には、ソーラー事業とICT事業との連携を図っていきたいです」と話すのはソーラーエネルギー営業部西日本営業部長の服部達幸氏。KCCSの強みは、企業の情報基盤を担う「ICT」や社会インフラ基盤を担う「通信エンジニアリング」の事業も展開し、これらを融合した+αの提案ができること。ソーラー関連では、メガやミドルなど、さまざまな規模の施工はもちろん、O&M(オペレーション&メンテナンス)のアウトソーシングなど、さらなるニーズへの対応力も備えている。再生可能エネルギーの新たな需要が高まっていく今後も、ますます目が離せない存在になっていくだろう。