「治験期間短縮を実現」新薬開発に革新の一手

プラットフォーム構想で業界とデータをつなぐ

新型コロナウイルスの感染拡大もあり、新薬開発の難しさを耳にする機会が多くなった。新薬開発は研究、治験、有効性・安全性評価などのプロセスがあり、10年以上かかるといわれている。さらに輪をかけて、今の時代、新薬開発の成功確率が年々低下傾向にあるという。そんな中でNTTデータが提供するのが、治験トータルソリューションプラットフォーム「PhambieLINQ(ファンビーリンク)」だ。新薬開発における業界のステークホルダーそれぞれの課題を解決し、新薬開発のスピードアップと品質向上を目指す。

新薬開発における課題

時間と労力のかかる新薬開発だが、近年ではとくに成功確率が低下し、10年前と比較すると格段に難易度が上がっているという。

NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部
デジタルソリューショングループ
課長
関根 志光
中外製薬
臨床プロセス戦略部
アウトソース戦略グループ
グループマネジャー
塚本 豊和

NTTデータの関根志光氏は「医療技術が進歩したことにより、すでに可能なものはおおかた解決をみています。いまだ有効な治療法が確立されていない疾患は非常に複雑化しているものであり、結果、開発も難しくなっています」と説明する。

「有効な治療法が確立していない病気や十分に満たされていない医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)を満たすため、さらに優れた治療法が必要とされる中、治験に求められるデータの品質も上がっており、製薬会社にはより高度なチャレンジが求められている」と語るのは、中外製薬の塚本豊和氏だ。こうした状況の中、治験のプロセスはさらに複雑性を増し、期間も費用も増加傾向だという。当然、その効率化にはICTの力が必要になる。

治験プラットフォームとは

一口に治験と言ってもそのプロセスは主に3つに分かれ、非常に煩雑な業務や検証が必要になる。

NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部
デジタルソリューショングループ
課長
梅原 聡史

最初の上流工程は、治験を行うための設計書すなわち治験実施計画書の作成業務だ。これは製薬メーカーが担当する。次に治験実施計画書に従って医療機関が患者に投薬を行い、臨床データを収集する。そしてその臨床データを製薬企業のデータベースに格納し、解析したうえで、新薬の承認申請を行うプロセスが存在する。

「新薬開発というのは、製薬企業だけで行うことはできず、医療機関との連携が不可欠です。そのためステークホルダー全体で効率化を図り『つなぐ』ためのプラットフォームが必要だと考えました」とNTTデータの梅原聡史氏は、プラットフォーム開発の経緯を説明する。


中外製薬
バイオメトリクス部
臨床SIG
髙橋 真実

そのコンセプトに共鳴したのが中外製薬だ。「他のベンダーからデジタル化を進めるサービスは個々に提供されていますが、製薬会社と医療機関をつなぐプラットフォームは今までなく魅力的でした」と中外製薬の髙橋真実氏は言う。

「少しでも早く良い薬を患者さんに届けたい。それが新薬開発の目的であり、プラットフォームがそれに貢献してくれると考えた」(塚本氏)

治験関連文書作成を約60%効率化

中外製薬の協力の下、昨年行われたのがAI技術を活用した治験関連文書の作成効率化ソリューションの実証実験だ。

治験を行う際には、膨大な文書作成がついてまわる。基本となるのは治験実施計画書であり、それをベースに患者用の同意説明文書、統計解析計画書、患者の治験データを入力する症例報告書、さらには治験結果をまとめる総括報告書などが存在する。

NTTデータ
第二公共事業本部
社会保障事業部
デジタルソリューショングループ
主任
箕輪 一輝

「治験実施計画書だけでも少なくて50ページ、多ければ150ページほどになります。これをすべて読み込んで、患者さんでも理解しやすい平易な表現で同意説明文書を作成する必要があります。これまでは文章作成ソフトなどで人の手を使い確認していましたが、そこを可能な範囲で自動化し、効率化を図るというものです」と実証実験の内容をNTTデータの箕輪一輝氏は振り返る。全体のプラットフォーム構想の中でまずは上流工程を検証した結果、治験実施計画書から同意説明文書への展開など1つの関連文書作成に対し平均で約60%もの効率化を実現したという。

治験実施計画書は一度作成して終わりではない。治験が複雑化しているため、途中で実施計画を変更することも多々ある。その都度関連文書も変更を要する。自動化すればヒューマンエラーも軽減できる。この点だけでも効率化は随分と進むが、さらに目指すのが標準化と共有化だ。

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