渋谷発!
國學院大學 赤井益久学長によるトップ対談 國學院大學

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

グローバル化の時代こそ
地域との連携が不可欠

赤井 本学は人材育成の方針として「神道精神」を掲げています。神道は昔から神社やお祭りなど、地域との結び付きが強かったのです。文部科学省は、「センター・オブ・コミュニティー(COC)構想」として、地域再生の核となる大学づくりを重視していますが、本学では10年以上前から、「渋谷学研究会」などの取り組みを行ってきました。同研究会は、発展を続ける渋谷という街を、文学、歴史、社会、宗教など、多様な視点で考察し、「渋谷学」として街の特色を浮かび上がらせようとするものです。

「渋谷再開発」
東急電鉄の牽引のもと、渋谷の街は発展を遂げてきた。そして現在、渋谷駅周辺地区の大規模再開発に向け て東急電鉄は新しい街づくりに着手している

野本 とてもすばらしい取り組みですね。渋谷がこれからも発展し続けるためには、「渋谷をどのような街にしたいのか」というビジョンが大切だと思います。人を楽しませる、おもてなしをするために何をするかという視点でつねに考えるべきです。

たとえば、インバウンドで外国のお客様をおもてなしするには、地元のものも必要なのです。国際的なものと地元のものがコラボレーションすることによって、街の魅力がさらに高まる。「渋谷ヒカリエ」は国際会議などにも使っていただいています。ある会議では、前夜祭として近くの金王八幡宮で屋台を出して楽しんでいただきました。外国から参加された方にはとても好評だったようです。

赤井 本学はミッションとして、「伝統と創造」「個性と共生」「地域性と国際性」の調和の三つの慮(おも)いを掲げています。まさに地域性と国際性は表裏一体ですね。

渋谷には博物館や美術館などの施設がたくさんあります。國學院大學にも博物館があり、入館料を無料にして、地域の方々に気軽に来館いただいています。博物館は、一種のタイムカプセルです。展示をご覧いただくことによって、過去の経験や知識が可視化され追体験ができます。この4月から文化庁の「地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業」の一環として「東京・渋谷から日本の文化を発信するミュージアム連携事業」もスタートしました。

自分のよって立つ基準を持ち
主体的に行動できる人材に期待

野本 若いときに本物を見ることは、とても大切ですね。自分の基準値をレベルアップすることができます。私どもは最近、ベトナムなど海外で都市開発を行っています。海外に出たときこそ自分の基準を持つことが大切です。日本の会社としてどのような考え方でビジネスを行うのか。日本の文化や芯となる考え方があって、初めて外国との比較もできるわけです。「日本の人たちと一緒に仕事をしたい」「ああいう街に住みたい」と思っていただけることが大切です。

そのためには、そこで働く人材は、つねに相手の気持ちを思いやりながら、当事者意識を持って行動できることが求められます。

「渋谷学叢書」
2002 年に「渋谷を科学する」というテーマを掲げて創始し た「渋谷学」。大学、そして学生を育ててきた地域でもあ る渋谷を多面的に考察した本学独自の研究シリーズ本

赤井 お話を伺っていて、大学でも多くのことが当てはまると思いました。本学ではグローバル化が進む社会において、外国語を話し外国文化を取り入れるだけでなく、自国の文化を知り、その良さを発信できるプル型プッシュ型の人材育成に取り組んでいます。グループワークなどを学生が主体的に学ぶ取り組みであるアクティブ・ラーニングのほか、ラーニング・コモンズ(共有の学習スペース)などの拡充にも力を入れています。

野本 グローバル化が進む今こそ、自分のよって立つ基準が大事になります。その点で、貴学の取り組みに意義があると思います。主体性豊かな学生が育っていくことを期待しています。

赤井 ありがとうございます。