
主催:東洋経済新報社
協賛:NTTデータ、SmartHR、エムオーテックス、NTTコミュニケーションズ
主催者挨拶
代表取締役社長
駒橋 憲一
「激動の時代に、自由主義、民主主義、国際協調主義を掲げ、時代を先取りする報道・言論活動を追求してきた」と歴史を振り返った駒橋憲一社長は、今後も続くwithコロナ時代が個人や企業に新しい価値観に基づく変化を迫る中、良質で役に立つ情報を提供し、創刊以来の理念である「健全なる経済社会の発展に貢献」していきたいと語った。
基調講演
withコロナに打ち勝つための経営戦略とは
代表取締役社長
デービッド・アトキンソン氏
元金融アナリストで、政府の成長戦略会議有識者委員も務めるデービッド・アトキンソン氏は「3密回避が求められるwithコロナ時代には薄利多売、高回転率ビジネスは成り立たない。付加価値を高め、生産性を向上させる必要がある」と指摘。「これは人口減少時代に日本企業が取るべき戦略とも重なる」と語った。人口減が引き起こす最大の課題は人材確保だ。中小企業も、大手並みの給料を出せなければ、若手を雇えず、技術継承や事業継続が困難になる。給料を増やすには、会社を成長させることで生産性を上げることが不可欠。ワーク・ライフ・バランスや女性活躍の実現も、休みを取る社員の仕事を社内でカバーできる一定の規模が必要として、企業規模を拡大することがカギになると強調した。日本の労働人口が2060年までに約3000万人も減る事態こそが「人口のおよそ2分の1が失われ、封建制を崩壊させ、産業革命への伏線となった14世紀欧州のペスト禍に匹敵する大きな変化になる」と覚悟を促した。
協賛講演
DX時代の働き方『デジタルワークスペース』
ビジネスソリューション事業本部
デジタルビジネスソリューション事業部
デジタルワークスペース統括部
ソリューション営業担当 部長
遠藤 由則氏
NTTデータの遠藤由則氏は、コロナ禍のテレワーク普及で浮上した課題に触れ、柔軟な働き方の実現、生産性の向上とともに、情報漏洩などのリスクにも対応した「デジタルワークスペース」の構築を呼びかけた。今は、働く場所、端末、利用するクラウドサービスが多様化し、従来のように社内ネットワークを守るだけでは安全を担保できない。そこで、新たなセキュリティーの考え方「ゼロトラストネットワーク」の概念を取り入れ、社内システム、エンドポイントの端末、利用するクラウドサービスの3領域すべてのアクセス、挙動をまとめて監視する仕組みを提案した。同社の「BizXaaS Office(ビズエクサースオフィス)」は、仮想デスクトップ系と、ゼロトラスト系を軸にソリューション群を幅広く展開。クラウド利用制御機能による会社が把握していないサービスの利用制限や、ID管理機能により一度の認証で複数サービスを使えるシングルサインオン導入などの事例を紹介して「必要な機能をうまく使って」と訴えた。
特別講演
コロナが炙り出した人の課題
(前 LIXILグループ執行役副社長)
八木 洋介氏
複数の企業で人事責任者を歴任した八木洋介氏は、コロナ禍が「個人に気づきを与え、自立を促すきっかけになった。個人を活かせる組織に会社も変わるべき」と訴えた。安定雇用と引き換えに滅私奉公を求める従来のメンバーシップ型雇用は、個の自立で成り立たなくなる。個人に任せないとリモートワークも機能しないので、規律・統制型組織は、会社と個人が互いに関係性を持って共通目的を実現するエンゲージメント型に変わる必要がある。評価基準も、労働時間や年功序列から、成果を測る実力主義にシフトする。「最近、メンバーシップからジョブ型雇用へ、といわれているが、ポジションにふさわしい力を持つ人を配置するジョブ型は、企業が勝つために当然、なすべきことのはず」と指摘。変革には、強い思いを持って自身をリードし、正しいと思うことを実行できるリーダーが必要で「リーダー資質を持つ人材は希少だ。会社は、年齢、性別、国籍などで分け隔てなく発掘することが求められる」と語った。
協賛講演
人事労務の効率化から組織課題の分析まで!
組織変革を進める秘訣は「人事データベースの活用」にあり
人事労務 研究所
所長/執行役員
副島 智子氏
クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHR人事労務研究所所長の副島智子氏は、働き方改革関連法で時間外労働の罰則付き上限規制が開始されたことを受け、企業は効率化・生産性向上を図って「全従業員が時間外労働の制限内で生産活動を行う『新しい常識』に適応しなければ、企業は生き残れない」と訴えた。同社は自社製品「SmartHR」を使い、人事データの収集、一元管理、分析を実現。新入社員には招待フォームから必要な情報を本人に入力してもらい、社会保険などの届出書もSmartHRで自動で作成。在籍社員についても、本人から申請フォームで情報更新することによりリアルタイムに最新情報を収集。人事担当者の負担を大幅に軽減した。オプション機能の「ラクラク分析レポート」を使えば、離職率、残業時間などの人事指標もリアルタイムで集計できる。「新しい常識の下、パフォーマンスを発揮しやすく、魅力のある働く環境整備のため、人材データを活用した戦略的人事を推進する必要がある」と語った。
特別講演
人間の能力を解放するにはどうすればいいか
代表理事
為末 大氏
為末大氏は、withコロナ下のニューノーマルには、会食自粛など終息後元に戻るであろう変化と、コロナ以前から始まっていて今後も続く本質的変化の2種類があると指摘。「変化が本質的かどうかを見極めて対応しなければならない」と訴えた。だが、在宅勤務を本質的変化と捉えて継続するか、原則出社に戻すか、といった判断の難しい課題もある。「人類は可塑(かそ)性に優れ、新しい環境への適応力が高いが、集団を好むのも本来の性質なので、答えを出しにくい」と話す。一方で、時間に縛られない働き方は定着すると予想。スポーツも、若者を中心に、野球などチームで勝ち負けを競う競技から、ランニングなど余暇を楽しむアクティビティーへ、という流れがあり、時間に縛られずに働く時代の本質的変化として「自由に体を動かすスポーツの推進に貢献していきたい」と語った。
基調講演
コロナ禍で変わる企業経営
―CX両利き経営―
IGPIグループ会長
冨山 和彦氏
直接参画型の経営支援、事業再生を行うIGPIグループの冨山和彦氏は、デジタル変革(DX)とグローバル化が重なって起きた、電機産業などに見られる革命的産業構造の変化は今後も加速すると予測。大企業は、得意とする同質的、連続的改善を進めて従来の本業でしっかり稼ぎつつ、そこで生み出すキャッシュを使って新規事業を探索する「両利きの経営」が「ポストコロナの時代に生き残る必要条件」と指摘。人事、カルチャーを含む抜本的な企業変革(CX)をグローバル企業に求めた。一方、コロナ禍の経済的混乱は、地域のサービス産業が日本経済を支えている構造を明らかにした。地域の中堅・中小企業は、安価になったデジタルツールを上手に使うDXと、新しい経営ノウハウを取り入れて経営者自身も変わるCXを起こせば、世界的にも低水準の生産性を向上できる余地は大きいと強調。「多くの人が働く地域企業をよくすることが日本経済再生のカギという思いを持って取り組んでいただきたい」と訴えた。
協賛講演
なぜ「原則出社」に戻ったのか、なぜ「原則テレワーク」となったのか、その分岐点とは
営業本部 副本部長
津田 禎史氏
コロナ禍でのテレワークの急激な普及は労務管理やセキュリティーの不安を引き起こし、テレワークを取りやめる企業もある。エムオーテックスの津田禎史氏は「不安を解消してコロナ時代を乗り越える」ためのソリューションを紹介した。テレワークで目の前にいない部下の働きすぎのチェックが難しいなど、労務管理の課題に対しては、同社のIT資産管理ツール「LanScope(ランスコープ)」の活用を提案。情報漏洩対策で収集していた操作履歴を分析すれば、PC操作の時間、稼働させているアプリがわかり、業務を可視化できる。セキュリティー対策では、AIを使って、通常の対策ソフトでは検知が難しかった未知の脅威も99%検出できるという次世代型アンチウイルス製品「Cylance PROTECT(サイランスプロテクト)」を紹介。メール履歴をたどって取引先にも感染を広げ、信用問題を引き起こすマルウェアも流行しており「社外で業務する場合はエンドポイントの利用端末を守ることがカギ」と語った。
特別講演
ニューパラダイム
~withコロナによる様々な変化~
TimeLeap 取締役
ピョートル・フェリクス・グジバチ氏
コンサルティング事業を手がけるピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、近年の変化について話した。分析では解決できない複雑・混沌とした問題が増え、正解と思われたことが不正解になることがある。かえって状況を悪化させないためには自分の常識の裏にあるバイアス(思考の偏り)を意識する必要があると指摘。シェアリングビジネスは、市場は需給の均衡で成り立つという資本主義のバイアスに気づき、均衡がなくても市場をつくり出すことに成功した例だとして「不正解の後ろに正解があるかもしれないことに気づくことが大事」と述べた。現代のパラダイムは「所有から共有の豊かさへ」「お金からつながりの資本価値へ」と変化していて、新たな経営戦略が求められる。会社の都合で決められていた働き方のパラダイムも、コロナを機に、自身で決める方向に変化した。個人は「自己を振り返って、自己実現という幸せな状態にたどり着いてほしい」と語った。
特別講演
コロナ禍で必要な心の整えかた
メンタルトレーニング指導士/
IOCマーケティング委員
田中 ウルヴェ 京氏
メンタルトレーニング指導士として、アスリートやビジネスパーソンをサポートする田中ウルヴェ京氏は、コロナ禍での心の整えかたとして2点を挙げた。1つは「感情を言葉にする」。怒りなど不快な感情は、我慢して気づかないようにするのではなく、言葉にして気づくことで「その感情を調整でき適切な対処行動を選べるようになる」と述べた。もう1つは「やる気の種類を使い分ける」。やる気には「好きだから走りたい」など、一般的イメージの完全な内発的動機づけのほか、「やせたいから、その手段として走りたい」同一化的動機づけ、「走ること自体より、チームが楽しいから走りたい」疑似内発的動機づけ、「他人に言われて仕方なく走る」完全な外発的動機づけの計4種類があると説明。やる気とは行動を継続するための動機づけで、「その種類は人によって異なることを理解することが、選手や部下を育てるうえで大切になる」と指摘した。