白内障手術と眼内レンズの進化 「よりよく見える」を支える

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

直径6mmの眼内レンズに込めたテクノロジーで人生100年時代に貢献

白内障手術の進化を眼内レンズを軸とする機器提供の面から支えてきたのが、米国の医療機器メーカー旧AMO(現在は米国多国籍企業に買収され眼科手術事業部門を担う)だ。直径6mmほどの小さな眼内レンズには、目に悪影響を与える紫外線や紫色光カットのために着色が施され、光の回折現象をより活用するため、レンズの溝の幅と高さを最適化する独自技術など、多彩なテクノロジーが詰め込まれている。小切開でレンズを入れるために使うインジェクター(挿入器)も操作性を高め、事前に折り畳んだレンズがセットされたものを提供し、円滑な手術をサポートする。

エイエムオー・ジャパン
代表取締役社長
岩重 恵子

その日本法人、エイエムオー・ジャパンの岩重恵子・代表取締役社長は「製品は、手術の進化に合わせ、現場の医師の意見、患者の検査データによるエビデンス(科学的根拠)に基づく改良を重ねています」と、品質に自信をのぞかせる。

旧AMO社は、1976年に米国で設立以来、眼内レンズを中心に、眼科用医療機器を展開。眼内レンズ領域では、小切開対応の折り畳み式レンズ、多焦点レンズなどの新たなテクノロジーを開発してきた。

買収・統合で開発部門を強化し、新製品導入サイクルを早めていて、日本でも2020年10月に連続焦点型多焦点レンズを発売。国内ではまだ市場拡大余地が大きい多焦点眼内レンズの普及に向け、グループ施設に眼科向けラボを新設して医療従事者向けに研修の場を用意。患者が、多焦点レンズの術後の見え方をイメージできるVR(仮想現実)映像なども使って情報提供も充実させている。

人が得る情報の約80%は視覚からとされ、見え方は生活の質への影響が大きい。人生100年時代を充実させるために、加齢による白内障対策をはじめ、目の健康は重要性を増している。「当社は『よりよく見える』をサポートすることで、患者さんが、人とのつながりを増やし、よりアクティブで充実した人生を送れるよう貢献したいと考えています」と岩重社長は語る。人の目が持つ機能に近づける方向に発展してきた眼内レンズは、さらなる進化に向けた研究開発が進む。白内障手術を支える最新テクノロジーから目が離せない。