現場を変えた「数字とタスクの見える化」 町工場がデータと自動化で大変革
手書き、手動が当たり前。町工場のIT化は成功するのか
三河湾沿岸、愛知県碧南市に拠点をかまえるiSmart Technologies社(以下iSTC)は、1941年創業の町工場・旭鉄工から派生したベンチャーだ。国産車のエンジンパーツをはじめ、変速機、サスペンション、シャシー、ボデーなど多様な自動車部品を手がける旭鉄工。iSTCは、旭鉄工がIoT技術と「カイゼン」で生み出した製造ラインのモニタリングシステム「iXacs(アイザックス)」と、長年の経験で蓄積されたカイゼン力を基に、工場の生産性向上をサポートするコンサルティング業務を販売している。
iXacsの誕生は、3代目代表取締役社長の木村哲也さんの「無茶ぶり」に始まったという。
製造業の現場で生産効率や安全の確保を、作業者が中心となって見直しを図る「カイゼン」。取引企業である旭鉄工も長年カイゼン活動に取り組んでいる。しかし従来のカイゼン活動はすべてアナログ。生産した部品の個数は数えて手書き。サイクルタイムもストップウォッチを使って手動で集計。ラインが停止したら理由と時間を用紙に記入。手間暇だけがかかり、正確なデータが集まらないため科学的な検証が進まずにいた。
そこに疑問を投げかけたのが木村さんだった。
「モノがひとつ出来上がるたびに信号を出せば個数とサイクルタイムは集計できる」「シグナルタワーの情報を拾えば停止したかどうかわかる」「そのデータをクラウドにあげればPCやスマホでチェックできる」。紆余曲折を経ながらも、従来の設備に後付けできる低コストな送受信機を開発。取得されたデータは逐一クラウドにアップされ、従業員は手元の端末でチェックできる。2015年に自社・旭鉄工で運用を開始するや4年で労務費3億円、設備投資4億円がカットされ5億円の利益を生んだという。
社内で親しみを込めて「無茶ぶりの鬼」と呼ばれる木村さんはこれに手ごたえを感じ、さらなるIT化に踏み切ることになる。
(本コンテンツは、朝日新聞デジタルに2020.09.28掲載された記事広告を転載したものです)
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