事業戦略を支える人事の挑戦 SAP HR Connect Autumn 2020

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新型コロナウイルス感染拡大でビジネス環境は一変した。テレワークも拡大され、働き方の見直しが急速に進んでいる。この変革期にHR(人事)部門は、ニューノーマル(新常態)に適応しつつ、組織を活性化するという重大な挑戦が求められている。2020年6月の前回に続きオンライン開催となった第26回の「SAP HR Connect」は、ウィズコロナ、DX(デジタルトランスフォーメーション)がもたらす新時代に向けて先進的な人事戦略に取り組む企業が登壇。その取り組みとともに、人事戦略を支えるプラットフォーム「SAP SuccessFactors」の導入・活用事例が紹介された。
SAP HR Connect Autumn 2020 オンデマンド視聴はこちら
主催:SAPジャパン
協賛:日本アイ・ビー・エム、アビームコンサルティング、オデッセイ、クレスコ・イー・ソリューション、デロイト トーマツ コンサルティング、日本情報通信、PwCコンサルティング、ビッグドライブ
協力:東洋経済新報社

Day1
ニューノーマル時代の人事・人材育成の取り組み

日本電信電話(NTT)
総務部門 人事・人材開発担当
担当部長
小田 晃弘氏

NTTドコモの完全子会社化を決めて、さらなる総合的ICT企業への進化を図るNTTの小田晃弘氏は、さまざまな社会経済の課題をDXで解決することを目指す同社が取り組む人材戦略を紹介した。グループ従業員約30万人を擁する同社は、タレント情報を見える化し、データ駆動型人材育成、効果的な人材配置を実現するため、グループ内の約90社、約20万人を対象に「SAP SuccessFactors」を導入。業務標準化を進め、アドオンを抑制する方針で、プロジェクト着手から1年でサービス開始にこぎ着け、従来システムに比べて約3割のコスト削減を果たした。ニューノーマルへの対応では「リモートワークに適したマネジメントや評価、ジョブ型人事を検討する必要性」を指摘。

SAPジャパン
人事・人財ソリューション
アドバイザリー本部
本部長
佐々見 直文氏

SAPジャパンの佐々見直文氏との対談では、非正規社員を含む従業員のキャリア形成、スキル向上のための環境整備がグループの成長に重要として「一社員の目線を大切に人事施策に取り組みたい」と話した。

Day2
加速するSAPのデジタルトランスフォーメーションと人事制度改革

SAPジャパン
常務執行役員
人事本部長
Olga Zgurskaya氏

SAPジャパンのオリガ・ズグルスカヤ氏は、継続的に進めてきたHR変革のジャーニー(旅)を振り返った。同社は、世界各地に分散していた人事機能のシェアードサービス化、クラウドサービス化などを推進。一方で、HR専門スタッフが従業員と遠隔で個別面談をしたり、育児や入社直後などの場面に応じたニーズをシナリオ化してサービス提供したりすることで満足度も高めてきた。今後は、多様性や組織の健全性などの指標を策定。「リーダーシップ向上などのための人事施策が、組織にもたらすインパクトを測定したい」と語った。


SAPジャパン
人事本部
HRビジネスパートナー・リード
石山 恵里子氏

続いてSAPジャパンの石山恵里子氏が、改革されたSAPの人事制度を説明。2012年のSuccessFactors社買収後から、職種やグレード別に責任範囲や役割、必要な経験などを定めたジョブ型人事制度に移行。報酬もジョブに連携させつつ、地域市場水準に合わせる仕組みにした。また、17年には点数評価を廃止し、対話を通じたパフォーマンス管理に移行。キャリア開発も、熟練より新しい業務への挑戦を促す。DXで「意欲なども把握できるようになった。タレント人材には、経験の機会を与え、成長を促す施策を進めたい」と語った。

Day3
ニューノーマルヒューマンマネジメント
~HR Techを企業が今活用するべき5つの論点~

日本アイ・ビー・エム
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
タレント&トランスフォーメーション
アソシエイトパートナー
久保田 勇輝氏

未来のことと思われていたAI(人工知能)実用化や、今まで予測もされなかったコロナ禍でのニューノーマルな働き方など、さまざまな課題が2020年の世界に突きつけられている。日本アイ・ビー・エムの久保田勇輝氏は、これらの課題解決に当たっては「本来やりたいことを見定めることが大事」と強調。HR Techを活用するポイントを挙げた。例えば、日本型雇用の限界という課題には、ジョブ型雇用、タレントマネジメントといったバズワード的な解決策が示されることが多いが、「本来解決すべきなのは適材適所の人材配置のはず」と指摘。まず現在と将来の事業に必要な職種・スキルを定義することで、不足している人材がHR Techで「見える化」でき、ギャップを埋めるためのアクションが取れるようになると説明。「5年、10年後の未来の事業・人事業務のための備えを今から進めて、コロナのような不測の事態にも柔軟に対応できるHRシステムを整えなければならない」と訴えた。

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