コロナ禍でビジネス英語はどう変わる? スピーキング力向上の鍵は目標設定と可視化

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コロナ禍により海外出張や駐在がままならない状況が続いている。しかし、企業のグローバル化は待ったなし。この状況下で、海外とのビジネスコミュニケーションはどう変化するのか、ビジネス英語やディベート教育で知られる立教大学の松本茂教授に伺った。

新型コロナウイルスの影響でオンライン化が進む

コロナ禍により一時経済活動は停滞したものの、企業にとっては将来を見据えた取り組みを止めるわけにはいかない。とくにグローバル展開をしている企業は共同プロジェクトや商談、交渉など海外とのやり取りが必須だろう。ただし、そこには大きな変化が起きていることに注目したい。興味深いデータがある。英語関連事業を展開するレアジョブが2020年10月に行った調査である。

海外とのコミュニケーションはオンラインに移行

Q.新型コロナウイルスの流行前後で、会社全体における海外とのリモート・コミュニケーションの変化について(社内外を問わず)、回答。(N=289,単一回答):2020年度グローバルリーダー育成サーベイより
レアジョブ
法人事業本部 副本部長
アセスメント事業担当
安藤 益代

同社法人事業本部 副本部長の安藤益代氏は次のように紹介する。「当社が最近、企業むけにグローバルリーダー育成サーベイを行ったところ、あらゆる側面にコロナ禍の影響がおよび、デジタル化が加速していることがわかりました。

グローバルリーダー育成分析レポートはこちら

まず海外出張が『かなり減った・減った』と回答した企業が92%に達している一方で、ウェブ会議・電話会議が『かなり増えた・増えた』と回答した企業は86%に上っています。感覚的にはわかっていたけれど、あたらめて数字で確認できました」。

海外とのコミュニケーションが大きくオンラインに移行しているわけだ。またオンラインが当たり前になると、海外のステークホルダーとの会議の開催など接点がむしろ増える面もある。ここでは主に英語を使うことになるが、対面のコミュニケーションとどこが異なるのか。また留意すべき点はあるのか。

立教大学
経営学部 国際経営学科 教授
グローバル教育センター長
松本 茂

立教大学教授・グローバル教育センター長の松本茂氏は次のように答える。「大きく3つのポイントがあると思われます。1つ目は『文を言い切る力』、2つ目は『主導権を取る』工夫、そして3つ目は話し手の表情など『非言語の要素』を読みきることです。『文を言い切る力』について、対面であれば会話を言い切らなくても相手が話をつなげてくれることもありますが、オンラインでは与えられた限られた時間内で、言いたいことを伝えなければなりません。さらにオンラインでは同時に話すと混乱するため、今は自分が話したいと『主導権を取る』ことも大切です。一方で、対面と異なり相手の感情などが読み取りにくいため、相手の反応を見ながら会話をするとともに、自分も表情豊かには話すといった『非言語の要素』の表現力も求められます」。

日本のビジネスパーソンの多くが英語スピーキング力に課題感

海外とのコミュニケーションがオンラインにシフトしていくことで、新たな要素が加わることは間違いない。

「ただし」と松本氏は語る。「ビジネスコミュニケーションで重要なのは、『何を伝え合うか』ということです。オンラインならではの工夫はあっても、その本質に変わりはありません」。

さらに安藤氏はグローバル人材育成や英語コミュニケーション力育成に長年携わってきた経験から次のように疑問を投げかける。「英語の4技能(聞く、読む、書く、話す)の中では、話す、すなわちスピーキング力に課題を感じているビジネスパーソンが多いようです。その理由はどこにあるのでしょうか」。

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