医療従事者向け新サービスにLINEを採用

今知りたい医薬情報にスマホで即アクセス

かねてから多忙を極める医療従事者に対して、医療・医薬品情報をいかに効率的に提供していくかが、製薬会社にとって大きな課題だった。医療従事者との直接対面が難しい今、そのハードルは高さを増している。そこにテクノロジーを用いた1つの解を示したのが、グローバル・バイオファーマ企業のブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)だ。2020年6月にローンチしたLINE公式アカウントによる情報提供サービスには、製薬-企業としての信念が貫かれている。

あえて専用アプリではなくLINEを選んだ理由

「LINE公式アカウントで情報提供サービスを開始するという計画は、2019年から始まっていました」と話すのは、グローバル・バイオファーマ企業のブリストル マイヤーズ スクイブ(以下、BMS)のデジタルマーケティング部長、宮本繁人氏だ。コロナ禍の中で急きょ、LINEを活用したサービスをローンチしたわけではない。BMSはそれ以前から日々忙しく働く医師をはじめとする医療従事者が抱えていた「ちょっとした空き時間を使って今すぐ必要な情報を手軽に入手したい」「外来診療の合間に調べて、患者さんの治療に役立てたい」という課題に、BMS自身がデジタルトランスフォーメーション(DX)することで応えられないかと模索していたのだ。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ
デジタルマーケティング部門長
宮本 繁人

これまで製薬業界は、自社製品ごとにWebサイトを構築し、情報提供を行ってきた。一方の医療従事者、とくに医師たちは情報収集のツールとしてパソコンをメインで使ってきた経緯がある。しかし医師たちのデジタルツール使用状況を調査・分析したところ、最近は若手・中堅医師を中心に、コミュニケーションの手段はスマートフォン、とくにLINEの利用率が高いことが明らかになった。看護師やほかの医療チームとLINEを使ってやり取りしたり、自分の研究テーマに沿ったLINEグループを作って他院の医師と意見交換をしているという実態も浮かび上がってきた。

そこでBMSでは、製品ごとのWebサイトに分散している情報を1つに集約し、新しいアプリをわざわざインストールすることなく、LINEの中で情報提供を行っていくことが、医療関係者にとってシンプルで親和性が高いと判断したのだ。

「LINEはほぼすべての医師が日常的に使っているメッセージアプリとはいえ、親しい友人や同僚、医療チーム、家族とのやり取りに用いられるパーソナルなツールであり、製薬企業からの情報入手するためのツールではありませんでした。しかし、LINEは多くの医療従事者が利用しているアプリであり、このアプリを通じて医薬品の適正情報を提供できれば医師がより便利に身近にかつ手軽に情報を得てもらえるのではないか、そのような価値を提供しようというところから検討がスタートしました」(宮本氏)

BMS医療従事者向けLINE公式アカウントで提供している情報は、「固形がん」「血液がん」「循環器」「リウマチ」という4つの疾患領域だ。BMSの医薬品情報の検索・閲覧も、オンラインで開催されるセミナーへの参加も、スマートフォンやタブレットをタップするだけ。操作性のよさは抜群だ。


「ヘルスケア業界では他企業でもLINEの活用が始まっています。BMSが提供する医薬品は高い専門性を必要とする薬剤が多いです。専門医がそのような医薬品を処方するうえで参照する最新のガイドラインや薬物療法の手引き、臨床試験結果や副作用マネジメントなど、医薬品の適正情報を手軽に入手するための新しい手段として、BMSのLINE公式アカウントはほかにはない価値を感じてもらえると思います」と宮本氏は自信を覗かせる。

カスタマーエクスペリエンスに注いだ熱意

サービス開発に当たり、操作性のよさは最優先だった。寸暇を惜しんで自社情報にアクセスしてくる医療従事者が迷うことなく、最短ルートで欲しい情報にたどり着くためには、一目でわかる画面デザインや明快な導線設計など、優れたUI/UXの実現が不可欠だ。そのため同業他社はもちろん、他業界・他サービスのアプリやLINEサービスに至るまで徹底的に研究した。

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