グローバル競争に勝つ! 進化する日本のファイナンス・トレジャリー
●主催:東洋経済新報社
●協賛:キリバ・ジャパン ●協力:デロイト トーマツ コンサルティング
オープニングスピーチ
オープニングでは、クラウド型の財務管理ソリューションをリードするキリバ・ジャパンの桑野順一郎氏が「クラウドによるグローバル資金の可視化と最適化」と題してスピーチした。企業の生命線となるグローバル資金ポジションをリアルタイムで把握できていない大半の日本企業の現状について、桑野氏は「ガソリンメーターのない車を走らせているようなもの」と指摘した。これまで、メーターとなるべき財務管理システムが高額で、投資が躊躇される理由となってきたが、「キリバのクラウド型サービスは、安く、速く導入できる環境が整い、小さく始めることも可能になった」と強調。「まずは、やってみる!」ことを訴えた。
基調講演
世界水準のトレジャリー・マネジメント
グローバル企業のコーポレートトレジャリー部門でアジア・オセアニア地区の統括責任者としての経験を積んだデロイト トーマツ コンサルティングの伊藤薫氏は、「トレジャリーはオペレーション担当というイメージ払拭を心掛けてきた」と語った。伊藤氏は、トレジャリーの絶対的使命はリスクマネジメントであると強調。トレジャリーが管理すべき六つのリスクとして、「流動性」、「市場」、「信用」、「各国規制対応」、「内部統制」、「事業継続(BCP)」を列挙。「リスクマネジメントの目的は、万一の事態に被る損失を最小限に抑えること」と述べた。
また、「トレジャリー業務の専門知識を基礎として、事業部門の課題の理解や解決策を追求するコンサルテーションを行うことや、事業部門を事業に専念させ、トレジャリーが銀行政策の責任を持ち、銀行との交渉役を担うことが付加価値的使命として重要である」と述べた。
日本企業のグローバル・トレジャリー・マネジメントの現状については「特段のシステムを持たず、月に一回程度の銀行残高報告をグループ会社から受けているようでは、潜在リスクの把握、分析、対応策の検討はできない。自社のシステム選定要件を整理し、業務の統制・管理・監査を満たすシステムを導入し、リスクを〝見える化〟することが第一ステップである」と話した。