圧倒的な「先行者利益」と「コスパ」が期待できる 「音声ならでは」の広告効果を科学的に実証
近年、にわかに普及が進む「デジタル音声広告」※1。動画やテキストの広告に比べ、音声広告は情緒や潜在意識に働きかけやすく、とくに企業ブランディングとの親和性が高いといわれる。またデジタルということで、細かなターゲティングや数値を基にした効果測定ができるところも強みだ。そして最近は、その高い広告効果を科学的・定量的に実証する取り組みも進んでいる。
音声はストレートにメッセージを伝えられる
デジタル音声広告の効果を科学的な見地で調査したのが、音楽ストリーミングサービス・Spotifyの依頼で今年6月に行われた、ニールセンによるニューロサイエンス調査レポートだ。この調査では、「注目」「感情関与」「記憶」に関する主要3指標について、被験者に「動画広告のみ」「音声広告の後に動画広告」の2パターンで広告を提示し、脳波の動きを測定した。※2
その結果、「音声広告の後に動画広告」を見せたほうが「動画広告のみ」を見せるより総合的な広告効果が有意に高まり、音声広告と動画広告のシナジー効果が確認された。
一方、ブランドそのものの伝達を見る調査では、「動画広告のみ」「音声広告のみ」「音声広告の後に動画広告」の3パターンで実施。その効果に関しては意外にも、「音声広告の後に動画広告」を見せるよりも、「音声広告のみ」を聞かせたほうが有意に高かった。こうした調査結果についてSpotify ビジネスマーケティングマネージャーの石井恵子氏はこう話す。
「音声に比べると、動画には映像・音・テキストといった多くの要素が詰まっていて、エンターテインメント性は高い反面、人の脳の処理が追いつかず、伝えたいメッセージが有効に伝わらないことも少なくありません。対して音声は要素が音だけに絞られるため、伝えたいメッセージの伝達を拒む因子が少なく、ストレートにメッセージを伝えられます。今回の調査結果には、そうした特性が表れていると分析します。
これまでもユーザーへの事後の聞き取り調査で、音声広告の効果を確認してきましたが、今回こうして脳波の測定という形で科学的に、客観的に広告効果を実証できたのは、とても有意義だと考えています」(石井氏)
ほかにもSpotifyでは、宣伝会議と共同でこんなプロジェクトも展開している。デジタル音声広告の可能性をクリエイティブの側面から考察する「デジタル音声広告クリエイティブラボ」だ。同ラボでは2019年5月より、実際に企業がSpotifyに音声広告を出稿し、どのようなクリエイティブでどんな効果が起こるかを検証している。
広告接触者の8割超が行動を起こした
そのうちの1社、モンデリーズ・ジャパンは、同社のガム「クロレッツ」を若年層へリーチすることを目的に、同ラボへ参加。具体的なガムの喫食シーンの提示を通じて「ガムを噛むことはカッコイイ」というイメージを伝える「サッカー篇」「ステージ篇」、さらにはコミカルでノリのいい「英語講座篇」を2パターン、合計4パターンの音声広告を制作した。
▼実際の音声を再生できます「英語講座(走る)篇」