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早稲田が社会人AI・IoT講座にかける熱意 コロナ禍の時間活用をオンラインコースで

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  • 早稲田大学スマートエスイー 制作:東洋経済ブランドスタジオ
早稲田大学は社会人向けAI・IoT講座「スマートエスイー」について、2020年10月末からコース履修を新設すると発表した。授業はオンラインが中心になるという。定評ある同講座を遠隔で受講できるだけでなく、大学教育の改革という点でも注目される。

早稲田のDX時代を見据えた社会人向けオンライン講座、新規コース開講

「スマートエスイー」正規履修プログラムは2018年度に開講した。早稲田大学を中心に13大学、21組織(会員企業5000社超)の大規模な産学連携ネットワークにより、実践的な社会人教育を提供しようとする講座で、中でも、AI、IoT、ビッグデータなどの最先端のICT技術とビジネス価値創造を体系的に学べるのが大きな特長だ。

早稲田大学理工学術院総合研究所
最先端ICT基盤研究所 副所長・教授
スマートエスイー事業責任者
鷲崎 弘宜

2020年9月30日、「2020年度スマートエスイー 修了記念シンポジウム」が、ビデオ会議システムを用いたオンライン配信で行われた。修了生を送り出すのは今年で3期目になる。スマートエスイー事業責任者の鷲崎弘宜氏は「知識・理論にとどまらず、実際のビジネスやモノづくりの現場で技術を活用するための実践的な方法を演習中心で学ぶことができるのが本講座の特色です。この3年間の修了生の中には、企業で新商品の開発に携わるようになったり特許出願まで実現した人もいて、大きな手応えを感じています」と語る。

正規履修修了生1年後のフォローアップ調査を見ても、「体系的にIoT技術を学べ、かつビジネス・イノベーションに関しても学べる講座はほかに見ない」「知識全体のレイヤーが理解できたこと、多種多様で意識の高い仲間を得られたのは人生の財産だと思う」など、内容に非常に満足していることがうかがえる。

もともとの自分のスキルに加えて新しいスキルも得て、フルスタックな人材として活躍したい人に適した講座といえよう。

うれしいニュースもある。「スマートエスイー」に2020年10月末から、オンライン中心の「コース履修」が新設されるというのだ。

これまでの3期はいずれも定員を上回る応募があり、一部の志望者は受講できなかった。さらに、講義が行われるのは、東京・中央区にある早稲田大学の社会人教育拠点「WASEDA NEO(ワセダ・ネオ)早稲田大学日本橋キャンパス」という大変利便性の高い立地ではあるが、地方在住の受講者にとっては通学が容易ではなかった。オンライン講座であれば、そのハードルが一気に下がることになる。

「正規履修と異なるのは、講義はオンデマンドによるオンライン配信が中心であることと、総合的チーム演習やマンツーマン指導下で集大成としての価値創造を行う修了制作がないことです。ただし各科目で学ぶ内容は正規履修と基本的には同じです」(鷲崎氏)

スマートエスイーの正規履修は履修証明プログラム・文部科学省職業実践力育成プログラム(BP)認定講座であり、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金の指定講座でもある。コース履修ではこれらの認定外となるものの、これらと同等の質の高い講座をどこに住んでいる人でも受講できるようになるのは魅力的だ。

講義の座学部分は好きなときにいつでも繰り返し見られるオンデマンドで配信されるので、日本と時差のある海外に住んでいる人でも受講しやすいだろう。演習部分は実機を扱うものも含めてオンラインによる遠隔演習を中心に実施予定だ。

限定人数で正規履修と同様の科目をオンラインで学べる

「スマートエスイー コース履修」は、13科目から8科目を選択履修する。コース履修は6科目を履修することで、修了証が授与されることになる。科目は自由に選択できるが、スマートエスイーでは3つの人材像を設定し、それぞれの履修モデルも用意されているので、参考になるだろう。

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3つの人材像
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3つの人材像に合わせた履修モデル

「コース履修とは言うものの、それぞれの科目の内容は正規履修と基本的には同じです。そのため、中にはタフに感じる人もいるかもしれませんが、その分しっかりと知識が身に付くはずです」と鷲崎氏は話す。

修了制作はないが、プログラミングの実習もオンラインで行われる。さらに、受講生の自宅などに機器を配布し、それを用いた制御実習なども遠隔で行うというから、かなり本格的だ。

演習をリモートで配信する講師

受講条件も「ある程度のプログラミングの知識や経験のある人(言語は問わず)」「IoTシステムやAIに関する興味関心のある人」となっている。現在これらの業務に携わっている人はもちろん、将来携わりたいと考えている人、外部ベンダーと折衝する機会がある人などには、ここで身に付けた知識が大いに役立つに違いない。

オンライン講座でありながら、受講生の定員が50人に絞られている点にも注目したい。「オンラインだからいくらでも増やしていいというものではありません。質問対応やオンライン演習などもあります。質の高い講義・演習を行うためには50人が上限だと考えました」(鷲崎氏)

講義では受講生同士のディスカッションも行われる。オンラインではあっても同期生同士の交流も生まれているそうだ。

「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ビジネスの現場でもリモート会議システムなどを使ったコミュニケーションが一気に広がりました。見方を変えれば、東京の大企業にいなくても、東京の大学で学ぶことができ、コラボレーションもできるようになったわけです。地方の中堅・中小企業にも大きなチャンスがあります。意欲ある人にはぜひ参加してほしいですね。コンソーシアムも含め、学びと交流による外部の人脈は得がたい価値です」と鷲崎氏は語る。

DX待ったなしの時代、社会人の学び方も大きく変化

「コロナ禍の影響で『スマートエスイー』の今年度の正規履修講座は、原則オンラインで行いました。それによって、オンライン授業ではどのような点が重要なのか議論する機会にもなりましたし、新たな知見も得られました」と鷲崎氏は振り返る。

不確実性が極端に高まる中で企業がいや応なしにDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めざるをえなくなった現在、鷲崎氏は社会人の学びの方法についても、これからは大きく変化する可能性があると指摘する。

「これまでは一度社会人になってしまうと仕事が忙しくなかなか学ぶことができませんでした。しかし、オンライン講座の普及などに伴い、仕事をしながらいつでも学び直しができるようになります。つまり、学ぶことに終わりがなくなるのです。学び続ける人とそうでない人では大きな差になるでしょう。日本企業はコロナ禍により大きな影響を受けています。しかし、こういうときだからこそ、コロナ後の活躍を見据えて知を蓄える好機です。そして、AIやIoTを中心としたデジタル技術による組織やビジネスの変革こそが、事業環境や社会の変化へと対応することにほかなりません。『コロナ契機』『日本発』のビジネスやDXを加速する技術を生み出すチャンスだと考え、その中心となって活躍する人材を育てたいと考えています」

その言葉どおり、「スマートエスイー 正規履修・コース履修」から輩出される人材に大いに期待したい。

本事業は、文部科学省平成29年度「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成(enPiT)」enPiT-Proの採択事業です。理工学術院総合研究所最先端ICT基盤研究所と情報理工・情報通信専攻が運営主体となり、データ科学総合研究教育センター事業の一環としても位置付けて進めています。

連携大学・機関
早稲田大学/茨城大学/群馬大学/東京学芸大学/東京工業大学/大阪大学/九州大学/北陸先端科学技術大学院大学/奈良先端科学技術大学院大学/工学院大学/東京工科大学/東洋大学/鶴見大学/国立情報学研究所