ビッグデータを利活用し、
経営のスピードを上げる
Endecaで市場の反応を素早く把握するアサヒグループの取り組み
こうして同社は2014年、「Oracle Endeca Information Discovery」(以下Endeca)を導入した。Endecaは構造化データと非構造化データのいずれに対しても優れた分析能力を発揮するビッグデータアナリティクス製品である。分析モデルを作る必要はなく、データソースを段階的に拡張できるスモール・スタートでの利用にも向いている。グラフィカルな分析画面を容易に作成できる操作性の高さも特徴だ。
導入してまだ日が浅いが、同社は新商品の在庫の適正化など多方面で利用を進めている。
「最初にデータサイエンティストがいなくてもビッグデータ分析を始められると聞いたときは信じられないような思いでしたが、本当にそうでした。業務面においては分析や統計のスキルがそれほどなくても操作できますし、IT面でも従来のような費用と時間のかかる開発は不要です。SNSのデータを自社のデータと紐づけて見られるのも大きな利点です」(知久氏)
もちろんビッグデータを活用し、それをどう次のアクションに生かしていくか、判断するのはあくまでも人間である。ただ、その判断に至る経営の意思決定を早くするうえで「最適なツール」と知久氏は高く評価する。
将来的はEndecaの利用をグループ全体に広げ、海外の情報についても分析・活用することでビジネスチャンス獲得や業務改善につなげていくことも視野に入れているという。それによって経営のスピードアップが達成されれば、顧客価値の最大化、企業価値の最大化も見えてくる。Endecaの導入が、アサヒグループホールディングスのビッグデータへの取り組みを大きく変えつつある。