逆風でも増収「古くて新しい」証券会社の挑戦 急成長するIFA部門が好調を牽引
「それと同時に、金融機関に勤める営業員も会社の看板ではなく、自分の知識や経験、能力を顧客のために生かしたいという意識が高まり、金融機関を辞してIFAになるケースが増えていきました」(工藤氏)
真の「顧客本位」を実現できるIFAビジネスのポテンシャル
こうした流れの中で、あかつき証券の20年3月期IFA部門の営業収益は約19億円と前期比約3.5倍に拡大し、18年第3四半期から11四半期連続の増収を達成している。
では、あかつき証券のIFAビジネスは、どこに強みがあるのか。「数多くの金融機関との提携によるプライシングのよさと商品組成のスピード、そしてIFAやその先の顧客の声に謙虚に耳を傾け、一つひとつオーダーメイドで対応することが高い満足度につながっています。
また、弊社と契約するIFAに対し、対面営業の経験がある弊社の社員がサポートスタッフとしてきめ細かなフォローを行っており、IFAからも好評のようです。サポートスタッフがIFAに同行してお客様への商品説明を行ったり、一緒にお客様のご相談に乗ったりする支援は弊社ならではのサービスです」(工藤氏)。
こうしたIFA支援サービスが展開できるのも、同社が地道にリテール営業を行ってきた長い歴史があり、IFAが必要とするサポートがどのようなものであるかを肌で理解しているからだろう。
提案力とインフラ強化でさらなる飛躍を目指す
一方で、オンライン証券に比べるとインフラ面ではまだ課題が残っている。それを解消するために、年内にもIFA専用サイトもローンチする予定だ。ここではコンプライアンス情報や商品情報といったIFAに必要な情報が一覧化できるようになるだけでなく、口座の即時開設やタブレット端末での売買発注を可能にするなど、ユーザビリティーの向上が期待される。
テクノロジーの活用にも積極的だ。例えば、19年度からグループ企業のトレード・サイエンス社のAI技術を用いて株価の変動予測を行い、発せられたシグナルを基に顧客へ適切な売買タイミングを助言するサービスを実施。今後は提携先を広げ、顧客の投資意向に応じたラインナップの充実を図っていく考えだ。
老舗でありながら新たな挑戦を続けることが、変化の激しい現代においても成果を上げ続けられるゆえんなのかもしれない。最後に今後の方針を聞いた。
「今でも成長著しいIFAをさらに伸ばしたいと考えています。まだまだ日本においてIFAが成長する余地は大きいはずです。これまでリテール証券として培ってきたノウハウを生かした提案力を強化するとともに、IFA向けの資産管理型プラットフォーム構築を推進していくなど、新たな挑戦を続けていくことで、IFAの方々とそのお客様の満足度向上を図っていきたいと考えています」(工藤氏)
顧客本位の業務運営を行う存在として、IFAはいっそうの活躍が期待されている。金融機関などで研鑽を積み、営業を経験した実績のある方はIFAという選択肢を考えてみてもよいのではないだろうか。