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「保管ストレス」という新たな経営課題

全国のテクニカルセンターでは専門のスタッフがパソコンのデータ消去などに従事している。要望に応じて、データ消去の作業報告書を作成。リユースパソコンのニーズに対応するためデータを完全消去したパソコンなどの動作チェックやクリーニングも。パシフィックネットの心臓部とも言える場所だ

中島かつての大型コンピュータの時代には約5年ごとに新しいシリーズが出ていました。それがパソコンになり約18カ月サイクルになった。今のスマートフォンやタブレットは、そのサイクルがさらに短くなっています。価格も年々安くなっていますが、端末に入っている情報は、むしろリッチになっているわけです。情報セキュリティリスクが年々大きくなっているとも言えるでしょう。

上田社長が指摘されたように、おそらく、IT資産の管理、処分方法は情報システム部門の方に任されているのでしょうが、「任せる」と言われた現場も困りますね。

上田 そのとおりです。当社では、今年2月末から3月に、「IT資産のライフサイクルの出口(排出)実務」について情報システム部の方を中心に調査を行いました。そこで明らかになったのは、多くの企業で、社内に多数ある不要となったパソコンに残るデータについて漏洩リスクを感じているにもかかわらず、予算も人員も限られるので、なかなか対応できていないという実情でした。企業経営者の意識が高まっていない一方で、情報システム部門などでは課題に苦しんでいるというのが現状ではないでしょうか。中には廊下などにパソコンやサーバーがうず高く放置されているという企業もありました。私どもでは「保管ストレス」と呼んでいるのですが、誰かが管理をしているようで誰も管理をしていないIT資産が社内にあるというストレスを感じながら、トップの意識とのギャップが壁となり、具体的な策が打てていないのです。

不要となったスマートフォンやタブレットの引取回収も手掛けている。データを完全消去し、リサイクルやリユースへ。下の写真は、ハードディスクを磁気破壊する機器。さまざまな方法でデータを消す

中島企業が競争力を発揮するためには、さまざまなリスクをいかにコントロールしていくかが一つのカギになります。不要となったIT資産を持ち続けていることは、コア業務への特化という点でも弊害と言えます。そのような企業に対して、御社では引取回収事業という解決策を提供されているのだと。

上田 サーバーやパソコン、モバイル端末を保管されているお客様に対して、安心して処分を任せていただくために、厳重な管理体制と手順で業務を行っています。

具体的には、まず回収については全国8カ所にある拠点から、当社のスタッフが自社トラックで訪問し、処分する機器をお預かりします。その後、高度な能力が世界的にも認められているデータ消去ソフトによりデータを消去します。ご希望によっては、消去作業をお客様の社内(オンサイト)で行うこともできます。ハードディスクの破壊についてもオンサイトでの作業が可能です。

循環型社会の構築に寄与するユニークなプレーヤーとして存在感が高まっていくだろう

物流までを自社で行い、回収からデータ消去までワンストップで行えるのは当社ならではと自負しています。06年には全国すべての支店と店舗で情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO27001を取得しました。また、データ消去の証拠となるデータ消去作業報告書もオプションで発行しています。

中島自社内ですべてが完結するというのは、セキュリティの面でも安心です。中でも、データ消去のエビデンス(証拠)が示されるのは利用者のメリットも大きいのではないでしょうか。現在は、さまざまなリスクに対する備えについて、株主などから問われる時代です。エビデンスによってステークホルダーに対する説明責任を果たせますね。

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