タイ現地法人におけるマネジメント強化の実践、
日本企業さらなる飛躍の条件とは
【協賛】インフォアジャパン
【協力】NNA タイ
【後援】在タイ日本国大使館
[特別講演Ⅰ]
住友商事、タイでの挑戦
1953年に駐在員を派遣して以来、住友商事のタイでの活動はすでに60年に及ぶ。現在では、連結事業会社も含めると日本人派遣員80名強、タイ人スタッフ約5000名の規模に発展している。前田恒明氏はタイにおける住友商事の歴史と現状をこう紹介した。
そのうえで住友商事が世界を4地域に分けていることに触れ、前田氏が所属するアジア大洋州グループでは「域内統一人事制度」を導入し、現地スタッフの育成を図っていることを紹介。タイは日系企業の進出が突出して多く、日系企業によるサプライチェーンができており、同社としてもタイへの期待とコミットメントは特別なものと考えていることなどを説明した。
さらに商社の機能に言及したうえで、アジアにおけるタイの位置づけを踏まえ最近取り組んでいる事業について説明。物流拠点を新設した倉庫・物流事業、アマタ工業団地での発電事業、タイ第3位の製糖グループへの資本参加、タイでのテレビ通販事業展開、アセアン内でアルミ製錬所に投資し、日本企業では唯一地金権益を持っていることなどを紹介した。
また、ミャンマーではティラワ経済特区開発事業に参画し、今年4月から土地の予約受付を開始する。「この特区の成功は、サプライチェーンの高度化を通じて、メコン経済圏の活性化、タイ経済の一層の発展にもつながる」と表明して、講演を終えた。
[講演]
タイが熱い!今、アセアンで、
勝ち抜く為の情報基盤
ERPパッケージを主力製品に持つインフォアジャパンの佐藤幸樹氏は、タイがアセアンのヘッドクオーター的な役割を担う地域になっていることを前提に、「現地法人の事業運営を強化するために情報基盤をどう役立てるか」、「統括会社としての地域事業拡大の視点で情報基盤をどう考えるか」、という二つに重点を置いて話を展開した。
その中で佐藤氏は、現地法人を立ち上げる際にまず会計パッケージを導入する一方、生産、販売、購買などの業務については後回しにされがちであること、事業規模が拡大してもその状態を続けている企業が多いことを指摘。その結果、製品品質や業務効率の低下などの問題に直面している。そうした問題を解決し、現地法人が本来業務に集中できるようにするためには、「日本の本社または統括会社が主導して取り組むべき」と強調した。
また、ERPは各部門が一つのデータベースにアクセスし、有機的につながったデータに基づいて早期に経営判断できる「仕組み」をつくるために必要なツールであり、インフォアにはそれに適したソリューションがあると紹介。海外進出している日本企業を支援する部門を立ち上げて、「日本の本社や統括会社とも連携しながら全力でバックアップする」と語った。