今、なぜミス日本がSDGsに貢献するのか(後編) SDGsの実践がミス日本を輝かせる

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和田(あ) ミス日本が参加させていただくイベントは年間で400件以上。公的行事から民間のイベントまでさまざまです。ミス日本はもともと女性親善大使として始まった経緯から、国際的なイベントへの登場機会も多いです。例えば、伊勢志摩サミットでは、各国首脳の配偶者の皆様に日本の文化をご紹介したり、昨年のラグビーW杯日本大会や2025年日本国際博覧会招致活動など日本にとって大事な行事での出番も頂戴しています。公の目に触れる機会を通して、さらに美が磨かれていきます。

ミス日本はもちろん、ミス日本OG、ミス日本事務局も一丸となってSDGsの5つの目標の達成に取り組んでいる。5つの貢献目標に対応した活動依頼も増加傾向にあるという(写真提供:ミス日本協会)

和田(健) ミス日本の彼女たちにとっては出演自体が勉強です。もちろん同時にインプットも必要で、昨年からSDGsの課題解決に向けて、「ACT SDGs実践講座」を受講してもらっています。これは一般の方も参加できる連続講座プログラム。座学の後にディスカッションがあり、参加者には「SDGsで自分はこういう貢献をする」とコミットメントをしてもらいます。SDGsはファイナリストのときの勉強会でも学びますが、ミス日本受賞後も、その先も引き続き意識して自分の成長につなげてもらいたいと願っています。

広く参加者を募り行われる「ACT SDGs実践講座」。活発なディスカッションにより双方に気づきが得られるのだという(写真提供:ミス日本協会)

―ミス日本「水の天使」、ミス日本みどりの女神、ミス日本「海の日」といった各賞は、”水・緑・海”の視点でSDGsに貢献するために創設されたのでしょうか。

和田(健) いや、SDGsが国連で採択される2015年9月より前からありました。例えばミス日本「水の天使」は2012年から設けられています。日本には優れた水循環の仕組みがあるのですが、それをもっと広報して光を当てていく存在として発足しました。ほかにもミス日本みどりの女神も課題を持っていて、日本全体が木を守り育てていくフェーズから、現在は木を計画的に使うことで持続可能な環境づくりをしていくフェーズであることを、さまざまな手段で訴える存在です。ミス日本「海の日」も、島国日本になくてはならない海の恵みや海の安全を、改めて周知する活動が中心です。いずれもSDGsが始まる前からの活動であり、日本が発展していくために解決すべき課題に、ミス日本は各業界と協力して取り組むためにスタートしていました。SDGsの登場により、これまで取り組んできた活動はますます注目を浴び、重要性を増したと感じます。

和田(あ) ミス日本コンテストの大きな目的の1つは、「社会で活躍する人物を輩出していくこと」です。そのため、SDGsが国連で採択される前から社会課題を解決するための取り組みを行っていました。受賞者たちもミス日本の活動を通して問題意識が深まるようで、任期終了後も社会貢献活動を継続している人もいます。例えばミス日本「水の天使」だったあるOGはアナウンサーになったのですが、水循環に注目してもらうためにマンホールの企画を自ら提案し、番組を作ってくれました。また別のOGは下水道由来の肥料や再生水を使った野菜を利用したヴィーガンスイーツを開発して販売するなど、これまでになかったプロダクトも生まれています。従来の活動がSDGsと結び付いたことで、現役のミス日本はもちろんOGたちも含めてさらに問題意識を深めてくれるのではないかと期待しています。

―SDGsへの貢献は、美につながりますか?

和田(健) そう思います。私たちは「日本らしい美しさ」を掲げておりますが、さまざまな選択肢の中から、日々何を選ぶのかという自己決定の繰り返しが美をつくると考えています。SDGsの目標も、それぞれの個人の選択の積み重ねで実現されます。SDGsが記載されているアジェンダのタイトルが「Transforming Our World」、つまり「私」を含めた自分たちの世界を変革するということ。今より「Felicitas(ラテン語で幸福)」に変革するために、SDGsの課題を意識しながら何を選ぶのかを日々判断していくことが、自らの変革、成長につながっていくはずです。

また受賞者や参加者だけでなく、われわれ運営組織にとってもSDGsへの貢献を宣言したことによるプラスのインパクトがありました。それは「これまで常識だと思ってきたことに疑問を持つ」ということです。例えば、ジェンダーですが、審査員の男女別の比率は、以前は8:2でしたが、徐々に入れ替えを行い、今年は6:4となり、5:5まであと少しです。ほかにもイベントではお弁当ゴミの削減を目指してケータリングに変更する、ネットで応募できる仕組みを整えてペーパレス化を進めるなど、活動を続けています。

組織内で、何年も一定のルールが継続してしまうと、変更しづらくなる心理があると思います。ですがSDGs のおかげでそうした「いつもどおりのルール」に疑問を持ち、一人ひとりが考えるきっかけを手にしました。小さな変更の積み重ねは停滞した思考や空気を一掃してくれますし、個人が小さな成長を積み重ねていくことで組織全体が強くなっていき、達成感や一体感も生まれます。SDGsをきっかけに、組織としても美しくなれるのではないでしょうか。

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オフィス内で使用済みの紙から再生紙を作る「PaperLab」。同製品は、機械の衝撃により紙を繊維にまでほぐし、水をほとんど使わず紙の再生を実現する。社内で紙情報を抹消することで、情報漏洩事故防止に役立ち、ガバナンス強化にも有効だ。SDGsのゴールにもある環境意識や企業価値向上のため、現在約40の自治体、企業が導入している。PaperLabの仕組みをより詳しく知る
※「PaperLab」は機器内の湿度を保つために少量の水を使用します。