本企画では、エプソン販売・PaperLabの協力のもと国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、どのようにSDGsを意識して企業活動をするべきか、その実例やレポート、価値ある提言などを紹介する「SDGs Lab」Webマガジンを月2回発刊します。
地球に住む一員として、限りある天然資源を守り、社会課題を解決し、誰一人置き去りにすることなく、持続的に成長していくこと。それは、公的な機関および民間企業、そして一個人に課せられた使命であり、互いの責任ある行動、消費、協調が欠かせません。
「SDGs経営」「自治体SDGs」を推進し、企業と地方公共団体の活動に変革を起こしていくために必要なことは何なのか。有識者からの提言、変革者の「実践知」をお届けし、皆様の企業活動を変革する一助となれば幸いです。第14回の今回は、前回に引き続き、2017年にSDGsへの貢献を宣言した一般社団法人 ミス日本協会 理事 ミス日本コンテスト事務局長 和田健太郎氏、ミス日本協会 理事 和田あい氏、2020ミス日本グランプリ 小田安珠氏に、今、なぜミス日本がSDGsに貢献するのかについて、お話をお聞きしています。
――ミス日本コンテストについて、また活動の中身を教えてください。
ミス日本コンテスト事務局長
和田健太郎氏
和田(健) 応募期間は半年。地区予選が1カ月弱あって、9月には応募者約2500人の中からファイナリスト13~15人が決まります。ミス日本コンテストの特長は、その後ファイナリストを対象に14日間、約30講座の勉強会を行うことです。最近はこの勉強会に魅力を感じて応募される方も多いですね。
理事
和田あい氏
和田(あ) 勉強会は各界の第一人者にご指導いただいています。技能が磨かれるだけでなく、普段活躍されている方たちがご自身の業界をどのように見ているのか、そして業界の将来をどう考えているのか、といった視点を得られることは、とても貴重です。
例えば能の最も古い流派の1つである金春流櫻間家のご当主様から能の所作を学んだり、世界的なダンサーの方からダンスに向かう姿勢をお伺いしたりなどがあります。先生の視点を「私」の将来に重ね、「私」の生き方を真剣に考えていく機会は、ミス日本ならではの教育の仕組みと思っています。
2020ミス日本グランプリ
小田安珠氏
小田 能の所作の講義はとても印象に残りました。私は18年間、クラシックバレエをやっているのですが、西洋の踊りとは大きく違うと感じました。例えば月を見上げるしぐさでしたら、バレエならこう真っすぐ見つめるのに、能は首をかしげて下からのぞくようにして見るのです。こうした所作に、まさに日本の奥ゆかしさが表れているのですね。先生は動きだけでなく、能の歴史や歩まれてきた道のりをお話しくださり、とても勉強になりました。
ほかにも、スピーチやウォーキングはもちろん、華道や道徳、水循環や森林、マナーやSDGsなどなど、30講座のそれぞれの先生方から得られた幅広い教養は、私の宝物となりました。
和田(健) 勉強会を終えると、1月にファイナルとなるミス日本コンテストが行われ、ミス日本グランプリをはじめ、ミス日本「水の天使」、ミス日本みどりの女神、ミス日本「海の日」、ミス日本ミス着物、ミス日本ミススポーツ、準ミス日本の各ミス日本が選出されます。そして選ばれたらそこで終わりではなく、その後1年間、ミス日本としてさまざまな活動をするということも、ミス日本コンテストの特長ですね。
中村 真優氏
小田 安珠氏
田中 絵梨果氏
和田(あ) ミス日本が参加させていただくイベントは年間で400件以上。公的行事から民間のイベントまでさまざまです。ミス日本はもともと女性親善大使として始まった経緯から、国際的なイベントへの登場機会も多いです。例えば、伊勢志摩サミットでは、各国首脳の配偶者の皆様に日本の文化をご紹介したり、昨年のラグビーW杯日本大会や2025年日本国際博覧会招致活動など日本にとって大事な行事での出番も頂戴しています。公の目に触れる機会を通して、さらに美が磨かれていきます。
和田(健) ミス日本の彼女たちにとっては出演自体が勉強です。もちろん同時にインプットも必要で、昨年からSDGsの課題解決に向けて、「ACT SDGs実践講座」を受講してもらっています。これは一般の方も参加できる連続講座プログラム。座学の後にディスカッションがあり、参加者には「SDGsで自分はこういう貢献をする」とコミットメントをしてもらいます。SDGsはファイナリストのときの勉強会でも学びますが、ミス日本受賞後も、その先も引き続き意識して自分の成長につなげてもらいたいと願っています。
――ミス日本「水の天使」、ミス日本みどりの女神、ミス日本「海の日」といった各賞は、”水・緑・海”の視点でSDGsに貢献するために創設されたのでしょうか。
和田(健) いや、SDGsが国連で採択される2015年9月より前からありました。例えばミス日本「水の天使」は2012年から設けられています。日本には優れた水循環の仕組みがあるのですが、それをもっと広報して光を当てていく存在として発足しました。ほかにもミス日本みどりの女神も課題を持っていて、日本全体が木を守り育てていくフェーズから、現在は木を計画的に使うことで持続可能な環境づくりをしていくフェーズであることを、さまざまな手段で訴える存在です。ミス日本「海の日」も、島国日本になくてはならない海の恵みや海の安全を、改めて周知する活動が中心です。いずれもSDGsが始まる前からの活動であり、日本が発展していくために解決すべき課題に、ミス日本は各業界と協力して取り組むためにスタートしていました。SDGsの登場により、これまで取り組んできた活動はますます注目を浴び、重要性を増したと感じます。
和田(あ) ミス日本コンテストの大きな目的の1つは、「社会で活躍する人物を輩出していくこと」です。そのため、SDGsが国連で採択される前から社会課題を解決するための取り組みを行っていました。受賞者たちもミス日本の活動を通して問題意識が深まるようで、任期終了後も社会貢献活動を継続している人もいます。例えばミス日本「水の天使」だったあるOGはアナウンサーになったのですが、水循環に注目してもらうためにマンホールの企画を自ら提案し、番組を作ってくれました。また別のOGは下水道由来の肥料や再生水を使った野菜を利用したヴィーガンスイーツを開発して販売するなど、これまでになかったプロダクトも生まれています。従来の活動がSDGsと結び付いたことで、現役のミス日本はもちろんOGたちも含めてさらに問題意識を深めてくれるのではないかと期待しています。
――SDGsへの貢献は、美につながりますか?
和田(健) そう思います。私たちは「日本らしい美しさ」を掲げておりますが、さまざまな選択肢の中から、日々何を選ぶのかという自己決定の繰り返しが美をつくると考えています。SDGsの目標も、それぞれの個人の選択の積み重ねで実現されます。SDGsが記載されているアジェンダのタイトルが「Transforming Our World」、つまり「私」を含めた自分たちの世界を変革するということ。今より「Felicitas(ラテン語で幸福)」に変革するために、SDGsの課題を意識しながら何を選ぶのかを日々判断していくことが、自らの変革、成長につながっていくはずです。
また受賞者や参加者だけでなく、われわれ運営組織にとってもSDGsへの貢献を宣言したことによるプラスのインパクトがありました。それは「これまで常識だと思ってきたことに疑問を持つ」ということです。例えば、ジェンダーですが、審査員の男女別の比率は、以前は8:2でしたが、徐々に入れ替えを行い、今年は6:4となり、5:5まであと少しです。ほかにもイベントではお弁当ゴミの削減を目指してケータリングに変更する、ネットで応募できる仕組みを整えてペーパレス化を進めるなど、活動を続けています。
組織内で、何年も一定のルールが継続してしまうと、変更しづらくなる心理があると思います。ですがSDGs のおかげでそうした「いつもどおりのルール」に疑問を持ち、一人ひとりが考えるきっかけを手にしました。小さな変更の積み重ねは停滞した思考や空気を一掃してくれますし、個人が小さな成長を積み重ねていくことで組織全体が強くなっていき、達成感や一体感も生まれます。SDGsをきっかけに、組織としても美しくなれるのではないでしょうか。

