経営と現場を結ぶCX戦略のこれから

CXフォーラム2020

特別講演(2)
シスコシステムズのCX戦略

シスコシステムズ
業務執行役員
カスタマーサクセス ディレクター
立山 東氏

企業向けのネットワークやコラボレーションなど「つながる」ソリューションを提供してきたIT大手、シスコシステムズの立山東氏は、ハードからソフトによる機能提供へという流れを受けた、同社のCXへの取り組みを紹介した。「製品・サービスを愛してもらいたいというCXの哲学はあっても、それを実現する組織と仕組みがなかった」という同社は、数年前から他社にCXを学び、保守サービス部門を取り込んだCX組織を整備。サービス化による顧客サイクルの変化は「近年で最大のチャンス」と、少人数セッションや顧客訪問など「あえて非効率な取り組み」でファンを増やし、ありたい姿を目指してきた。世界に6万社いるパートナー企業もCX活動に巻き込むため、計1万5000時間以上かけたインタビューで要望を聞き、顧客視点の利用事例集などのツールをまとめたポータルも開発。2020年度は長期計画のCX実装段階を迎える。社内理解を得ることに苦労した経験から「レガシーを守りたい気持ちを抑え、新たなことに取り組むには、トップのメッセージが大切」と振り返った。

協賛セッション(3)
最高のCXに向けたデジタルマーケティングの活用

NTTドコモ
デジタルマーケティング推進部
会員エンゲージメント担当部長
南部 美貴氏

NTTドコモの南部美貴氏は、携帯電話契約者以外も含め、約7300万のdポイント会員を顧客としたCXについて話した。決済のほか、予約から購買までワンストップ機能を備えるd払いアプリで便利な購入体験を実現。5G通信の高画質VRライブ体験などを提供する。また、顧客情報を活用して、最適なタイミングと手段によるアプローチで、ポイント期限切れの「もったいない」をなくすといった価値を提供するデジタルマーケティングも推進。「ドコモを好きになってもらい、継続のサイクルを回していきたい」と語った。

CX with you
~顧客理解の先にあるもの~

NTTマーケティングアクト
カスタマーソリューション事業推進部
企画部門
ビジネスプラットフォーム担当・担当課長
米林 敏幸氏

コンタクトセンターを運営するNTTマーケティングアクトの米林敏幸氏は「VOCサポートセンター」に集約した同社のノウハウと、顧客との通話内容を網羅的に把握できるテクノロジーのセットで、VOC(顧客の声)活用を高度化。コールセンターの課題と、全社的経営課題双方のCX向上を連携させる仕組みが重要と強調した。そのために、課題を明確化して分析テーマを設定、分析結果から運用を改善し、検証する。さらに顧客理解を基に運営のあるべきビジョンを策定し、求める成果を意識した施策により「CXが経営貢献につながる」と述べた。

特別講演(3)
お客様に“喜びと感動と笑顔”のスパイラルを生み出す理念経営

HEAVEN Japan
代表取締役
松田 崇氏

ネット通販を中心に女性用下着の製造小売り事業を展開するHEAVEN Japanの松田崇氏は「お客様が満足して、喜んでもらえる商品を届けることで長く続く企業になれると信じている」と語った。トラック運転手だった松田氏は、米国旅行中に立ち寄ったフリーマーケットで、妻が「日本にはなかなかない」と下着に魅せられていたことをヒントに2003年に起業。厳しい経営状況が続いたが、感謝がつづられたEC顧客のレビューを見て「うれしくて、諦められなかった」と振り返った。顧客に喜ばれ、従業員が安心して働ける会社という理念で、経営を続けると、創業6、7年目ごろから軌道に乗った。通販はフィッティングができないという顧客の声には、サイズ交換・返品無料のサービスと、コールセンターでのきめ細かいフィッティング相談で対応。15年からは、正しいサイズを測り、それぞれに合う下着を提案する「試着体感サロン」をオープンした。「企業理念の、お客様に満足してもらうことがいちばん大切。商品が売れるのは、その結果だと思っている」と語った。

協賛セッション(4)
CX向上、次世代CC活用の戦略と個別活動のリンク

TMJ
マーケティング推進本部
本部長
島田 將英氏

セコムグループでCXのデザインやコールセンターのサービスを展開するTMJの島田將英氏は、CX推進組織が、実行力を向上させるための4つのカギを語った。まず課題発見のために分析をして、課題解決するアプローチは失敗が多いと指摘。分析は仮説検証のために行うことが大事だとして、仮説を設定後、分析を行い、ソリューションなどを導入実施、検証するサイクルを推奨した。次に、プランについては、全体最適よりも、ゴール(ありたい姿)に向けて、各サービス領域の実績を積み上げることのほうが重要と強調。VOCやナレッジなどさまざまな領域での取り組みの進捗を把握するために利用できる、同社開発のアセスメントシートを紹介した。3つ目に、実行体制については、CXプロジェクトの統括者以外に、さまざまな部門・組織からCXの要望、取り組みを受け止め、中立的視点で分析・調整するCXリーダーを配置することを提案。CXリーダーは、現場のコールセンターのミドルマネジメント層から育成を図っていくと説明した。4つ目に、効果検証は事業へのインパクトだけでなく、CXの継続性も考慮すべきと強調。同社が行った支援の事例を紹介した。

ディスカッション
経営と現場を結ぶCX戦略のこれから

ディスカッションでは、ラーニングイットの畑中伸介氏がモデレーターを務め、CX強化を進めるうえでの組織的なハードルや、それを克服する取り組みを協賛セッションで講演した4氏に聞いた。TMJの島田將英氏は「最大の問題は人材不足」と強調。CXコーディネートのスキルは確立されておらず、現在のCXリーダーからOJT的に学ぶ取り組みも進めるが「時間がかかる」と話した。同様の問題を抱えるNTTマーケティングアクトの米林敏幸氏は、社内で自利利他的なCXの共通ビジョンを共有する仲間づくりを、VOCのファクトで裏付けながら進めて「全社展開する体系的仕組みを整えたい」と語った。富士通コミュニケーションサービスの横田喜子氏は、縦割り組織が顧客のカスタマージャーニーに沿った一気通貫のCXを妨げると指摘。CXと各部門の関わりや効果を分析結果で示し、説得力を高めることを促した。セールスフォース・ドットコムの熊村剛輔氏も、数字でCXの意義を語り、社内の意識を変革する必要を指摘。データを使う際は共通の顧客像をデータによって定義し、組織全体の認識を合わせることを求めた。

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